朝からカラスが騒いでいる。繁殖期に入ったのだろう、攻撃的な季節がやって
来る。巣の縄張りを守り、他を侵入者として排除する。そんな作家を思い出した
。ここはスペースジャックされた。私のお客さんは私のフアン。あなたは、出て来
ないで下さい。その後、憧れとかいう街中のU画廊に展示し、ここは踏み台にし
たまま、その後この繁殖期のカラス帝国主義者から、一切の連絡はない。
朝から、カラスの所為で嫌な事を思い出した。巣の卵にされたF君もその後拉致
されたまま、こちらも音信がない。場を巣のように矮小化する精神に未来はない。
昨日、及川恒平さんと幌平橋駅で待ち合わせる。そこから、鴨々川水門、護国神
社、弥彦神社、水天宮を川沿いに歩き、9条通りからタクシーでM邸に向かう。
M邸では、音の響きを確かめるように、及川さんが何度も声を出していた。
気に入ったようだった。留守のオーナに手土産と、置手紙を置いて出た後、山裾
の道を歩き、お餅カフエに寄る。及川さんは豆餅、私はあべかわ餅を頼む。
今回のCD制作には、大手のCレコードとの話があるが、あくまで東京の録音スタ
ジオではなく、さっぽろでの録音に拘った訳を話してくれた。糸田ともよさんの歌と
、場の関わりを、自身のさっぽろと重ねて熱く静かに語ってくれる。ここ5年近い歳
月の土壌の時間を感じる。いいさっぽろがある。ひとつの作品が生み出される時間
である。声高に札幌の文化発信などと叫んで、「サッポロ・アート」などというふやけ
たものは、ここにはないのだ。
及川さんと別れて、ギヤラリーに戻ると依然として、岡和田さん試行錯誤の最中で
ある。夕刻、大木裕之さんとマネージャーの藤田敏正さんが来る。
大木さんカメラ片手にハイテンシヨンである。もう「メイ」撮影モードに入っている。
岡和田さんはすっかり呑みこまれていた。明日で最終日。好漢岡和田直人勝負
である。
*岡和田直人展「好日」-30日(金)まで。am11時ーpm7時
テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
tel/fax011-737-5503