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テンポラリー通信

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2008年 05月 08日

奥歯の痛む日ー5月の共和国(7)

昨日歯医者に行った話を書いたら、すぐ電話がきた。N君からで、”僕も奥歯が
痛んでその歯医者さん教えて欲しい”という事だった。N君の家から遠くもないの
で、詳しく場所を教える。ブログに打ち込んですぐだったので、少し吃驚だ。
佐佐木方斎展の期間中は、やはりどこか気が張っていたのだろう、終ると溜まっ
ているものがあった。佐佐木さんの白く塗り込められた油絵の内に蠢いていた何
かのように、篭るものがあったのかもしれない。ただ佐佐木さん本人は、到って躁
状態だったから、充分に解放されたと思う。それはそれでいいのだが、私には口惜
しい想いが残っていた。口惜しいというか、腹立たしいというか、無視された怒りの
ような、内に、くぐもるものである。忘却に素早く、新奇にも素早い現在とは、なんな
のだ、という思いである。この薄型ヘッド野郎と、どこかで、ごろつく自分がいたのだ
。展覧会の挾間で、その澱のようなものが溜まっている。
’80年代の熱い「精神のラインダンス」(菱川善夫)は、’90年代の拡散とともに、
パブリックワークのブラックホールに呑み込まれ、佐佐木方斎なぞ見向きもしない
のだ。世間一般との公共ラインダンスにうつつを抜かし、時の保水力を喪った現在
を思うのだ。公共美術(パブリックアート)だの、出張滞在(レジデンス)だの、うわっ
らだけの流行概念を追いかけ、笑顔でエルメス、そんな事はアルマーニみたいな、
ヒステリー起こしてバーバリー状態になる。もう書いているだけで疲れる。
’80年代の遺産を食い潰し、美味しいとこ取りで現在もぬくぬくと世俗の誉に乗っか
って、道外、海外の作家招請の基礎を造り、かつ2ヵ月に一冊の時代を記録する雑
誌を編集発行し、作品集及びアートドキュメントの冊子を、きちっと発刊した同志の
復活に、今何故そっぽ向くのか?何故過去の人扱いをするのか?
表層の今に溺れて、今を砂のように蹴り続けるサラサラ頭に本当の蹴りを、と思う
のだ。挾間の日の疲れは、時に澱のような怒りの不燃物となっていた。
どうりで、奥歯も痛むはずだぜ。

*小林麻美展「風景がわたしをみている気がする」-5月9日(金)-15日(木)
 am11時ーpm7時
*岡和田直人展ー5月21日(水)-30日(金)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-05-08 13:09 | Comments(3)
Commented by スズキジュンコ at 2008-05-08 14:31 x
「一隅を照らす者、これ国宝なり」という言葉を思い出します。誰の言葉か忘れちゃったけど。
私は偏りの反対側に居たいです。
いつかみんなもわかってくれるはず。
Commented by テンポラリー at 2008-05-08 16:12 x
スズキジュンコさま>「一隅を照らす・・・」そうか!いいですね。
お恥ずかしい。疲れが溜まると妙にマイナーに、むきになる癖が
あります。視線が低くなって胡乱な事に囚われるのです。今日
はそんな気分でしょうか・・。まあ、八つ当たりみたいなもんです
。大体そういう時は、蹴っ飛ばして足を痛めたりするもので、コ
メント頂き救われました。<一隅を照らす>志にハイタッチ。
ありがとう!
Commented by スズキジュンコ at 2008-05-09 15:24 x
イェーイ!!!


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