人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2008年 03月 12日

境・界としての石狩ー界(さかい)の再生(24)

雪解けが進んでいる。意地悪くつるつるの氷が、土色をして目を誤魔化す。滑る
。転ばなかったが危なかった。3,4月は、冬の未練残る。冬と夏の境が春だ。そ
の境が燃える5月。山笑う?、若い娘はスカートはいて野を歩くな?魔物が棲む
から。一斉に森の若葉、青葉が開く。野は、黄・白が最初の彩りだ。福寿草、コブ
シ、ニリンソウ、キバナノアマナ。そして、エゾエンゴサクの青、シラネアオイの透
明なピンク、カタクリの花。5月は植物にとっての共和国。人もまたそうでありたい
。植物には植生圏がある。地形や地勢に密接である。そこにしかない固有種もあ
る。動物にも基本的には生活圏がある。ゾーンがある。だから、境・界が生まれる
。その境・界(さかい)を命の基盤として大切にする。山に登るとその棲み分けが
明白だ。境が美しい。山裾近くの白樺、森林限界線に近い岳樺。それぞれの境を
生きているから、姿も違う。境が消え、同じ姿になる事は異常なのだ。
季節という時間の境も消え、同じ姿に世界中が覆われたら、それはお化けだ。
お土産と書く。土に産まれると書く。土はローカル。その地方という土があるから
珍しい土産(みやげ)だ。境・界が消えればつくりもののブランド。それがグロー
バル化?。さっぽろのゴーヤなんて誰が食べる?「白い恋人」はイメージだ。雪
のイメージで真のお土産(おみやげ)ではない。雪印の方がイメージに直である。
お土産から土が消え、雪が白い恋人になり、イメージだけの転化が進む。それは
あらゆる局面で見られる。1000m近い手稲山の山頂に、ハマナスの花壇がある
という。浜辺に咲くまウ、ハマナスが何故1000mの高さに置かれるのか。それも
イメージ。札幌の市の花だからだ。植生の境・界を無視したイメージのフラットな
暴力。まなぽっと、きたえーる、オジンギヤグみたいな駄洒落のような公共施設
のネーミング。酒席でくだけるみたいなことが民主化か?見え透いた線引き、線
引きの傲慢に、真の境・境はない。手稲山口という移住者の土の匂いがする地名
が消え、明日風という名になるという。明日は明日の風が吹くということか?風さ
え貧しい。まウ:呼気・風・ハマナスの実(アイヌ語地名小辞典・知里真志保)。
想像力が羽ばたく言葉にある境・界(さかい)の越境と、境・界を無視した言葉を
比べるがいい。境・界を喪った”こさえモノ”のイメージは、想像力も土産も喪い、
ひいては、文化を死滅させる。境・界としての石狩・さっぽろを5月のように再生
させたい。そう願うのだ。

*大野一雄展「石狩・みちゆき・大野一雄」-16日(日)まで。am11時ーpm
 7時。
*「ふたりの石狩ー大野一雄と吉増剛造」-3月18日(火)-30日(日)
 総集編として夕張とカムチャッカに凝縮していく境・界としてあったふたりの石狩
 を検証します。
*及川浩平ソロコンサート「Re Song」-4月5日(土)午後6時~入場料3000
 円・予約2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-03-12 12:26 | Comments(0)


<< 風の芯ー界(さかい)の再生(25)      ふたつの石狩ー界(さかい)の再... >>