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テンポラリー通信

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2008年 03月 01日

奥多摩人・吉増剛造ー界(さかい)の再生(15)

こうして方形の画面に文字を打ち込んでいる瞬間にも、ドイツのケンちゃんや幹さ
ん、九州の筒井さんと繋がっているかも知れない。電波の情報力は、驚くほど個
の次元でグローバルなのだ。かって、身体ごと移動して初めて、国を越え、インタ
ーナシヨナルだったものが、今は個人の次元で、国抜きに瞬時に越える。情報の
イージス艦化が進んでいる。しかし足元の小舟が見えない。図形にすれば、逆三
角形の頭でっかちの時代ともいえる。問われるのは、その足元の位置・私という小
舟の位置とも思える。
7年ほど前、美術家の川俣正とアートデイレクターの北川フラムが、「自然と文化
の固有性を見直す」(グラフィケーシヨン№117)の対談で語っていた。ーグロー
バリズムに対抗してどう自分たちの文化を守るかーというテーマに対し、川俣は
<固有のものを守ると言っても内に篭っていても仕方がない、・・ローカリテイー
ということが当然グローバリズムに、あるいはインターナシヨナルにつながってい
くところが絶対にあるんだ・・そういう意味で、僕はインターローカルという言い方を
した、インターナシヨナルではなくてインターローカルでつながっていくことができる
のではないか>と語っている。それに対し北川は<グローバルとローカルの二つ
を合わせるとグローカルになるね>と応酬している。足元の小舟がローカルとする
と、そこから世界が繋がる回路を川俣が<インターロカル>という言い方で言うの
に対し、才人北川は時流に敏感な人らしく<グローカル>と言い換えている。国を
基本にしたナシヨナルは、北川の場合に消去されている事が良く分かるのだ。グ
ローバリズムとは国という地方の否定もしくは超越の上に成立する現代概念の
在り方であって世界中がコカコーラみたいな一色化を目指すものだ。ローカルを
基本的に受け入れない考えである。それを流行り言葉ぽく、合成語にするあたり
に北川フラムの世間的才人性が仄見える。話は変わって、吉増剛造の横田基地
とは、いってしまえばローカルな問題である。しかし彼が提示している問題は、イ
ンターローカルな本質に繋がる。そこに足元の小舟という大切なローカルがある。
問われるのは今その事である。奥多摩人・吉増剛造がインターローカルな視座を
深く通底するように、今私たちは、さっぽろを、石狩を、インターローカルな小舟と
して問われているのだ。

*吉増剛造展「アフンパルから石狩へ」-2日(日)まで。am11時ーpm7時
*大野一雄展「石狩・みちゆき・大野一雄」-3月6日(木)-16日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-03-01 14:25 | Comments(0)


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