2007年 11月 27日
ギヤラリーのスケジュールがちょっと空いたので今週は展覧会を見に行ったり2 階の資料の整理に時間を充てる。今日は先々週谷口顕一郎展に来てくれた早 川禎治さんのご自宅へ谷口さんことケンちゃん、彩さんと一緒に訪ねた。早川禎 治さんは優れた登山家にして文章家であり2000年4月に出版された「傷ついた 自然の側からー手稲山紀行」は私の座右の書の1冊でもある。最近では松浦武 四郎の東西蝦夷日誌を2年かけて歩いた「アイヌモシリ紀行」を今年の4月に出 版している。この本は150年前の北海道を現在のそれと比較し足で確かめた大 変な労作である。以前にその感想をここで記したので詳しく書くことは重複するの で省くが一登山家に留まらない早川さんの面目躍如の快本である。私が愛読す る「手稲山紀行」もそうだが早川さんの視点はなによりも実際に歩いた体験をもと に鋭くそれが現代の文化・文明批評となっている事だ。札幌の山を意識する時誰 もがすぐ名前の浮かぶ手稲山を1年かけて徹底的にあらゆるルートから登りその 変容・破壊の状況をこれほど抉り取った文章は他に見当たらない。第一線の登山 家が標高1000M足らずの山にこれほどの情熱をもって語り同時に札幌論として 成り立っている本は皆無に近い。今日お尋ねした西野のお住いは正にその手稲山 の麓にあった。中の川の川沿いに近い閑静なお宅であった。お昼近くに訪ねたの でご夫婦共作の美味しいカレーライスをご馳走になり手造りの3種のお漬物ととも に私はガツガツとお代わりも頂いたのだった。話題は多岐にわたり「アイヌモシリ紀 行」中のさまざな挿話やらケンちゃんの今いるドイツ・ライン川の話と続いた。毎年ヒ マラヤに出かける早川さんは来年1月に南極に行くと言う。御年70歳にしてなお意 気軒昂たるその気迫は少しも衰えをみせない。帰りにはオカリナとケーナの演奏も 聞かせて頂いた。彩さんはフリュートを吹くのですぐにそのふたつの楽器に反応し て自らも吹いてみせた。また2年前にロシアへと旅した時の私も頂いた文章を早川 さんにも差し上げたので早川さんは大喜びで必ず全部読んでから感想を書きます と言った。(以下この日は人が来て翌日続きを書く。)-世界遺産になる前森林伐 採時の知床の現状を記録した「知床記」をはじめチベットの聖地「カイラス巡礼」と 自らの足で徹底的に歩き記す早川さんのペンと実践行動力はケンちゃんと彩さん にも深い感銘を与えたようだった。遠いもの身近なものすべてに全力投球の生き方 は手稲山からカイラスまで少しも変わらないのだ。お昼をご馳走になった部屋から 見えるお庭の塀にヒマラヤの山並みの絵が架かっていた。自作の絵という。お話を 伺った書斎の簡易ベットの窓の向こうにも同じヒマラヤの絵が在った。登山家早川 さんの目を遊ばす日常の夢にふっと触れた気がした。
by kakiten
| 2007-11-27 17:39
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Comments(3)
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さくら
at 2017-01-14 08:23
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今日は。私は20年程前早川先生の生徒でした。偶然にこのブログを拝見し、先生の事がおなつかしく
コメントしました。 先生は今もお元気なのでしょうか? 先生が授業中に私達に話してくれた雑談や冒険話しは今も心に残っています。 今も尊敬しています。 当時は感謝の気持ちを全く伝えられませんでしたが、もし主様がまた先生にお会いすることがありました ら、この事をちょっと話題にしていただけたら嬉しいです。 私にも現在息子がいまして、自然に親しんでほしい、自然の恵みへの感謝の気持ちを感じてほしいとの 思いからよく森へ連れていってます。 先生の、山を登った時、人間はどんな人間でも謙虚になると言ったお話しがとても印象 強かったです。先生のお話しをもっともっと聞きたかったなぁ…と今も時々思います。
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kakiten at 2017-01-15 14:23
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さくら
at 2017-04-19 12:40
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今日は。
先生から風と共に去りぬの本を頂いた生徒と言えば、もしかしたら解るかもしれません。 その本は今も大切にあります。 多分、私の同級生達も、先生との出会いがあの学校で得た一番の収穫ではないかな…と思います。 先生にお伝え頂きありがとうございました。 |
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