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テンポラリー通信

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2007年 04月 25日

春うららー春のにおい(60)

うラルーもや・かすみ。とアイヌ語である。春のうらら。どこかで通底している言葉
だ。漢字渡来以前の日本語の響きには文字をもたないアイヌ語と共通する響きが
ある。眼で見る言葉。耳で感じる言葉。言葉は音声が先にあってその響きに直なる
共通性を含有している。靄・霞は目に見える文字だがうららは空気の様態のように
感じる。目に見える以前の存在。皮膚感覚に近い5感で感じる総体のようなもの。
だからアイヌ語で感じる言葉の幅は一領域を越え一分野を軽々と越えて存在する
。「まぅ」という言葉もそうだ。呼気ー風ーハマナスの実と包含される。身体。気象。
植物。と3分野の言葉がひとつに包含されている。これを繋ぐものは5感の想像力
である。ふ~っという呼気は風。海岸の砂丘に咲くハマナスは風の実。砂丘は風
で形成され動くのだ。そこを命の原点とするハマナスの実は風の実でもある。そう
いう解釈が歩きながらだとすーっと体に沁み込むように理解される。こちらも風景
の中を動き歩かねば見えては来ない。身体学、気象学、植物学と閉じると見えて
来ない。そういう自在な生理のように文字以前の言葉は存在する。言霊(ことだま)
というものだろうか。そうした文字以前の”ことだま”を視覚化しようとする時に絵画
の成立もあったようにと思う。木村環さんがもう10点近く作品を仕上げている。空
中を漂う精霊や妖精たちの姿がもうシニカルな表情ではなく悪戯っぽい顔をして
あどけなく笑っているようだ。彼女自身が霊感の強い性格で私の不調をすぐに見
抜いた。腰の上のあたりに靄がかかっていてどうも腎臓のあたりのようだとすでに
指摘していたのだ。何人かが肩を揉んでくれたが腰の腎臓を指摘した人はいなか
った。人を見て悪い所には白い煙が立って見えると言う。私は最初全体がもや~
つとして全身疲労そして腰の上と見えたと言う。”うらら”ならいいが、もやとかすみ
では仕様が無い。春はうららときているが私の身体はもやに包まれ病んで、かす
んでいるのかしらねえ。と、少しぼやきになっていたら電話が入る。東京の石田
尚志さんからで5月5日の大木裕之さんの水戸芸術館ゲストトークに一緒に参加
したいとの事。ついでに翌日横浜美術館と横須賀美術館の石田さんの展示も一
緒に見て欲しいと言う事だった。大木さんも私の体調薄々感じて石田さんにも声
掛けたと思う。私は別々にさっぽろで知り合い大木さんと石田さんはもともと映像
で知りあいである。それがさっぽろでともにいい仕事をして3人一緒にというのは
初めてだ。なんかすごい事になったなあ。かすみとかもやとか言ってられない。
ウララ、ウララと頑張りましょう。

*木村環展「LIFE GOES ON」-5月6日(日)まで。am11時ーpm7時
 月曜休廊於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大
 斜め通りtel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-04-25 13:55 | Comments(2)
Commented by SPI at 2007-04-25 22:09 x
水戸の話、さわりしか聞いていませんでしたが決まりましたか!
私もいければと思っています。
よろしくおねがいします!
体調お気をつけください。
Commented by kakiten at 2007-04-26 11:09
SPIさん>そうなんです。藤田さんの熱い気持ちがきっかけです。
でも石田尚志さんもお出ましとなるとわくわくですね。3人一緒は
初めてですので面白いです。ふたりはもともとイメージフォーラム
で先輩後輩の仲でしょうがテンポラリーを媒介にまた新たな関係
が生まれつつある訳です。「メイ」の上映後だけに展開が面白い
と思います。


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