風の芯にどこか冬の寒気を潜めながら春が進んでいる。身体はその外身と内身
のずれに反応しながら冬を抱えて春に適応しようとしているのだがうまくはいかな
い。時に風邪という病を抱えて身体のずれがある。夜になると咳がでる。不眠であ
る。月末病もある。呼吸器がおかしい。息が切れる。春は深くと表現できない。春
はすすみ、ひろがる。北は冬が頑固に体の中に巣食っている。冬が深い。そこに
春がすすみ、ひろがっていく。内と外の季節のジンマシンみたい。きっと都市にい
ては駄目なのだ。山に行きたい。大汗をかけば解消されるのだ。とりあえず来週
からは自転車に乗ろうと思う。まだ風の芯に残る冬に負けるかもしれないけれど。
福井優子さんがある人の注文で私の顔の飾り面を作った。東壁に猫の顔の面が
沢山飾られているのだがその中のひとつにその顔が並ぶ。どうみても野良猫の
ボスぽい。注文を受けてから時々顔を盗み見して作ったという。そんなもんです
かね、注文した人もどうかと思うけれど。美しい女性が注文してくれたのならまあ
納得しない訳でもないけれど。それはあり得ない。だからといって、いい歳した男
性の注文じやあ一体何を考えているのか分からんのだ。早速出来た面を見て来
た人がこれだ~れと問い掛けていた。二階の事務所で吹き抜けを通して会話が
聞こえるのである。髪結い亭主でもあるまいしちょっとそうなると下には降リ辛くな
るのである。福井さんはその度に丁寧に注文の訳を説明している。益々私は孤立
する。動けない。息を潜めている。そんな人は今ここにはいないよ~って。オート
バイのライダーだった福井さんはライダー仲間のお客さんも多い。山仲間と違っ
てまた独特の雰囲気がある。ある種ファミリー的である。屈託がない。先週までの
斎藤周さんを訪ねて来る人たちとはまた違った層の時間が流れている。
*福井優子作品展「春を灯すキヤンドル」ー4月1日(日)まで。最終日午後5時
佐藤歌織ピアノソロライブ。於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁
目1-8北大斜め通りtel/fax011-737-5503