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テンポラリー通信

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2006年 12月 28日

雪浅く水澱むー函となって溢れる(18)

ぬかるむ道。雨の後の変な年の末。心もぬるい。きりっとした雪が欲しい。青空も
凛として欲しい。なにか世間の人がみな自分より立派に見える。最低の自分に思
える。下げる頭もなくトンボのちぎられた胴体みたい。消去法の自分がいる。何が
残るか。痩せた志(こころざし)。天候に合わせたようなぬかるむ自分がいる。
野上さんはさすが疲れたのか今日は遅い。酒井さんは大晦日のてん刻ライブに
向けて気合が入っている。野上さんとのコラボレーシヨン。ハンコの刻印と彫刻の
刻印。素材の互換。彫る事の共通性だけは同じだが目的の違うふたりの不思議
な意志の交感。何が生まれるのか。ここでしか出来ない仕事があるのはいい。私
はその場を作りつづけていく。そして人の心の花に逢う。向かいのビル解体で地上
が揺れる。学生用の新たなマンシヨンにする為古い建物が解体されている。花器
店時代の古いお客さんが訪ねて来た。売る物はもう無い。そう、売る物は無い。福
島泰樹の短歌風に言えば”男は秋を売る”まずい。また落ち込みそう。雪浅く命薄く
硬質なものが脆くなっている。ちぎれそうになって心の低空飛行が続く日。

by kakiten | 2006-12-28 14:01 | Comments(0)


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