2020年 01月 05日
積雪は少ない。 しかしその分寒気が鋭く感じる。 手先の指が冷える。 利き腕の右の指先が時に青くなっている。 露出し、使う機会が多い所為もあるのだろうが、 通院で注射の際右手を看護師さんに暖められたりもする。 体調不調を書いたら、心温まるご心配のコメントを多々 頂いた。 特に医師でもあるOさんの忠告・助言には心当たりする 処が多かった。 最近の医師は、パソコン画面の患部を見て、肝心の患者 を思わない人が多い気もする。 私の不意の転倒にも、良い杖が沢山出てるよ、階段は 手摺りを使いなさい、筋トレをしたら、と言う医師もいた。 5時間の人工透析中私は左手を動かさず寝たまま出来る腹筋、 膝横倒立、股関節開閉等出来得る運動を試みている。 巡回の院長も、運動終わったか?と声を掛けるほど、もう 半ば公認されている程だ。 背丈より高い下履き棚、階段上り終わった後等の不意の意識 不明は、どう考えても脳・心臓に関わる気がしていた。 杖とか、筋トレ、手摺りの問題ではない。 素人の感じ方だが、ふっと医療に対して疑問を抱いていた。 Oさんの指摘は、その点でとても心に響いた。 現代はなんでも機械操作の時代である。 二本足の人間は機械操作で四輪の四つ足に回帰し、水・食料 ・光・寒暖等の自然の恵みは、公共的、経済的社会インフラ となって自然への畏敬・感謝の心を喪失しつつある。 電気力により増幅された他力は、等身大の自力から指先操作 の筋斗雲・如意棒の孫悟空のような傲慢な力を誇示する存在 となりつつあるような気がする。 社会構造的にも主(あるじ)という個の主体性が希薄となり、 オーナーという名の巨大な社会構造の部分に組み込まれる。 お客様は巨大販売構造の購買客のひとり、オーナーズカード の一員で、街の薬局・米屋・洗濯屋・酒屋・雑貨屋・駄菓子屋 といった街のインフラを司った主は、大手コンビニのオーナー となる。 宇宙・地球・自然という大きな生命の源さえ、大都市の世界では 環境というインフラとしか捉えられない時代なのだ。 戦後という日本近代の終焉現代の始まりの時、詩「死んだ男」を 詩集冒頭に記した鮎川信夫の詩は、その意味でも今も深く心に沁 みるのだ。 たとえば霧や あらゆる階段のなかから、 遺言執行人が、ぼんやりと姿を現す。 -これが全ての始まりである。 ・・・・・ 埋葬の日は、言葉もなく 立ち会う者もいなかった。 憤怒も、悲哀も、不平の軟弱な椅子もなかった。 空にむかって眼をあげ きみはただ重たい靴のなかに足をつっこんで静かに横たわったのだ。 「さよなら、太陽も海も信ずるに足りない」 Мよ、地下に眠るМよ、 きみの胸の傷口は今でも痛むか。 ここに記されている<空にむかって眼をあげ>ある時代の終わりを 告げるМの言葉。 <さよなら、太陽も海も信ずるに足りない> この太陽と海には人間の<故里>が潜んでいる・ 里山・里海・・・。 <空にむかって眼をあげ>-ひとつの時代の終焉に、死者は 呟いたのだ。 故里に<さよなら・・・>と。 私は私の戦後の時代が生んだ<さよなら>を想い出す。 しかしその言葉にはある決定的な差異がある。 <さようならと総括>ー奥浩平「青春の墓標」 学生運動でセクトの違った恋人へ遺した、さようならと総括。 <う>が情緒・未練なのだ。 現代の原点に立つ<遺言執行人>の<さよなら>には、もっと深い 響きがある。 故里の故(ゆえ)。 太陽と海にまで至る深い時代の傷口・・・。 75年前のひとつの時代の傷口が、2011年3月11日現代の 出発点として今を撃つ。 私達は限りなく緩慢な<さようなら>を生きているのか。 *川戸郷史ライブー1月12日午後5時~ *収蔵作品展「記憶と現在」-1月中旬~ *高臣大介ガラス展ー1月28日ー2月9日 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2020-01-05 18:36
|
Comments(2)
|
アバウト
カテゴリ
以前の記事
2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 お気に入りブログ
リンク
その他のジャンル
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||