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2018年 01月 13日

人という自然ー栃木・足利の旅(7)

人が住んでいる。そこで生きている。
そして風景があり、里、郷がある。

苗字が上に付いた2,3階建ての商店・会社が主流の街。
舗道に面し焼いてくれるクレープ屋さん、屋台の珈琲屋さん。
遠く近く垣根のような里山に囲まれ点在した田園の直販所。
空が広く小さな遊び心(ファイン)が、その宙に零(こぼれ)
るようにあった。
美術館でのトークセッションが終わり、老舗の鰻屋さんで
その日の打ち上げがあった。
蒲焼の焼き方に老舗の技が感じられる。
その時奥座敷の壁に飾られたふたつの作品に気付く。
現代美術作家若林奮と川俣正の2点。
帰り際お店のご主人に声を掛け、川俣さんの初期のイン
スタレーション・テトラハウスプロジェクトを札幌で
した者ですと告げると、”ああ、川俣も北海道だもな・・”
と軽く応え、”俺、こいつの好きなんだよ”と言う。
南那須大桶から足利への道沿い個人直販所の棚にあった
手作りの飾り物、並べられた収穫物を素材にした炊き込
みご飯の弁当、ゆずの甘露煮、そんな心の遊び、心のフ
ァインと同じものを、その時鰻屋さんにも私は感じていた。
ずっと道の上に広がっていた空と同じ、人の心の空。
それが活きる人の頭上にもある。
足利学校のような歴史的建造物のある街並みに、同じ
高さで生活する屋並みがある。
西洋風の近代的な建物も、何故か無邪気で可愛らしい。
こんなのも、好きさ、良いべや・・・と、住む人の言葉
が聞こえる。
しっかり今を生きるひとりの人間の生の内から発した彩り。
産物・収穫物・調理・建物・工芸・・・物と人が寄り添
い同時代のキャッチボールをしている。
だから頭上にいつも空が広がぅている。
挟む具材を選び焼き立てを頬張りながら歩いた昼のク
レープ屋さん。
屋台の中で挽きたて珈琲を飲んで談話した夕暮れの珈
琲屋さん。
里山ー直販所、街ー店、
どちらも人が人の高さで、空は羽ばたく頭上にあった。
電機ベルトコンベアー主体の尖鋭な消費物流都市構造
とは違う人と物のヒューマンスケール・尺度が活きていた。
そういう東京・江戸の道を感じていた旅だった気がする。

掌(たなごころ)の近代。
掌(てのひら)が包(くる)んでいた近代。

私は私の、サッポロを想う。
そして吉増剛造という究極の産地直販所を訪ねた。

*高臣大介ガラス展「紡ぎあう」-1月30日(火)-2月11日(日)
*鈴木余位・村上仁美展「ふたたび 花傍らに」-2月下旬~3月上旬

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2018-01-13 15:04 | Comments(0)


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