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テンポラリー通信

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2017年 10月 28日

サムライ ロックー最前列にして最後尾(25)

展示最終週菅沼緑さんは、画廊を飛び出し富良野、芸術の森
北大構内等あちこちを徘徊している。
先日夜は、佐佐木方斎の家にも行ったという。
十数年ぶりの北海道長期滞在。
音威子府に移住して来た時とはまた違う北の秋を満喫して
いるようだ。
菅沼緑ー通称ロクさん。
みどりではなく、ろく、ロク、ロックさん。
繊細にして一徹頑固な人。
湘南カントリーボーイに生まれ、北・音威子府に’80年代
移住し、厳寒の地に心折れ故郷鎌倉に戻り、2000年岩手
花巻に居を移す。
学生時代より彫刻を志し、父上もまた彫刻家であったという。
そうした父子同じ彫刻への見えない葛藤が、彼の移住への
エネルギーをどこかで燃やしてしているのかも知れない。
時に感じる直截な思考・行動力は、反発し求める心の力、夢を
追うサムライのように思える。
北海道初期、夢のサムライ村橋久成や岡崎文吉等の生きた
北の風土にどこかロックさんも感応している気がする。
明治初期開墾・開拓の自然と人間の直なる対峙。
その明快さ、シンプルな風土に惹かれる彫刻家がいる。

彫刻とは何かを常に問い続けて来た。
アカデミックな回路に拠らず、自分が作品と納得する回路
を模索し続け、思う表現行為を続けて来た。
今回の展示作品も合板を張り合わせた立体に一面一色の色
を塗り大小様々な形象を壁に組み合わせたものである。
すると空間は自体がひとつの色彩・形象で刻まれた立体と
なる。
この建物自体がすべて紅葉した蔦に包(くる)まれている
から、内外呼応する色彩立体の彫刻(チョーコク)空間に
もなっている。
岩手から二十数年ぶりにここへ来るまで、こうした風景を
きっと想像もしなかっただろう。
多分音威子府に居た時とは違う時間が在る。

今週のロックさんには、作品と同様、外界と手を携えて
闊達に交感する時が流れているかのようだ。

*菅沼緑展ー10月29日まで。最終日午後5時閉廊。
*ホピ&カチーナドール展ー11月1日(水)ー5日【日)。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



by kakiten | 2017-10-28 13:07 | Comments(0)


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