テンポラリー通信

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2017年 10月 10日

量理と料理ー最前列にして最後尾(15)

いつものパン屋でいつも買う品が品切れしていたので、
都心デパート地下のパン屋に行く。
長い大きなフランスパン。
レジに並び順番が来て、すぐ聞かれる。
お切りしますか・・?
私はその日の調子や気分で好きな長さに自分で切る。
そのままで良い。
支払いが終わり、後ろの客に急がされるように
パン屋を離れた。
よくある日常光景だ。
しかしこの日はmawという言葉の多義性・多様性が
頭に残っていたので、考えはそちらの方向に行く。
言葉が本来的に保っている多義性。
その自然性を考えていた。
maw(まゥ)-呼気・風・ハマナスの果実。
言葉の保つ拡がり、発酵のような有機的な淀みが先刻の
パン屋さんの時間にはない。
長くて持ち運びに迷惑だからカットするというある意味
客へのマニュアルはあるが、何故切らないか、何故店の
キャラクターの人物は長いパンを抱えているかといった
会話の糸口時間はカットされている。
閉じる<箱>の時間だなあと思う。

別の日、ある定食屋さんに行った。
初めての店だったが、夫婦ふたりの定食屋さん。
おかみさんがお冷やの量ひとつにも気を配り、
話しかけてくる。
量たっぷりの和風おろしハンバーグ定食。
此処を紹介してくれたMさんのジンギスカン定食は、
もっと凄い量だ。
食事時間はおかみさんの明るい声とともに、ゆったり
過ぎてゆく。
ここでは、開いた<函>の時間が流れていた。

この違いは量(はか)ると料(はか)る理(みちすじ)
の相違なのだと思う。
言葉でいえば量の利と料の理。
量利と料理。
現代は量利社会をまっしぐらに突き進んでいる。
カットされるのは、長いフランスパンだけではない。
線路も階段も建物も土地もそして時間も心も量の利に
ショートカットされる。
そして街も山も海も・・・。
美味しいパン、食事に代表される自然文化と対峙する
時代は、もう来ている。

*野上裕之展ー10月10日ー15日。
 火・木・土・日:am11時ーpm7時
 水・金:am12時ーpm3時
*菅沼緑展ー10月17日ー29日
*ホピ&カチーナドールー10月31日ー11月5日

 テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

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by kakiten | 2017-10-10 17:13 | Comments(0)


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