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2017年 09月 24日

「ことばの上を打つ音」ー最前列にして最後尾(7)

今福龍太の「ここではない場所」(2001年岩波書店刊)
の吉増剛造に関する一文に「耳を澄ます・・・」という
名文がある。

この日常の言葉が吉増剛造によって書きとめられると、すでに
それは特異な律動と音色のなかを飛翔することばとなって私の
周囲をめぐりはじめる。耳を澄ませる方角の彼方には声や物音
だけではない。湿気や風向きや、空気の動揺や、色の輝かしい
氾濫といったものさえもがちりばめられるように存在していて
、それらすべて、吉増剛造の耳の繊細なセンサーへと収斂する
ように吸い寄せられてゆく。・・・・
吉増剛造にとっての「耳を澄ます」とは、周囲の物音や気配を
自らのかたわらに引き寄せることによって自分の「心の形」を
つかみだす、もっとも原初的な詩的探求の行為にほかならない
ことが了解されてくる。

この優れた吉増論はすでに2013年から始まった「怪物君」
の仕事を予感していると思う。
<耳を澄ませる方角の彼方には声や物音だけではない。湿気や
風向きや、空気の動揺や、色の輝かしい氾濫といったものさえ
もがちりばめられるように存在していて>
という指摘は「怪物君」の草稿行為そしてその行為を撮るGO
ZOCINEそのものに凝縮されるようだ。
23年ぶりの「石狩シーツ」誕生の地でふたたびの朗読行為
を終え、11月栃木・足利美術館個展、12月空間現代ととも
にポンピトーを皮切りに欧州・英国ツアーが始まるという。

空間現代の音響とともに、<耳を澄ます><もっとも原初的な
詩的探求行為>の旅は始まっている。
「石狩シーツ」の先へーふたたび胎動している。

*「大野一雄の記憶ー公演ポスターを主に」ー9月24日まで。
 am12時ーpm7時(火・木・土・日)
 am12時ーpm4時{水・金)・月曜定休・
*菅沼緑展ー10月17日ー29日
*ホピ&カチーナドール展ー10月31日ー11月5日
*鈴木余位+村上仁美展「ふたたび、花、傍らに」ー11月16日(木)~

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2017-09-24 13:46 | Comments(0)


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