北大遠友学舎で吉増・今福、小篠さんのレクチャ
ーが昨夕あったという。
私はこの日一日ギャラリーにいて行けなかった。
夕方シャンソンの訳詩をしているM氏が来て
ここで受けた刺激をシャンソン訳詩の仕事に反映
させ一晩で書いたという一文を届けてくれた。
フランス固有の歌シャンソンを日本語化し歌詞に
するという仕事を続けているM氏。
できれば札幌固有の地名や言葉でシャンソンを
創りたいという。
そんな時私の話した日本近代における札幌という
テーマは刺激的だったようだ。
そこへ北大の講演会を聞き終えた友人たち5人が
一度に立ち寄る。
みんな良い意味で興奮気味だ。
吉増・今福の名コンビが北大という枠を超え
より本質的な話へと自由に飛翔したらしい。
吉増さんは前夜宿泊した北大傍ホテルの13階
から見た北大の地形を話の枕にしたらしい。
サクシコトニ川の水が溜まった池、大野池。
その窪みを語ったという。
ピシクシメム、ヌプサムメム、キムクシメム
の3つの窪地に湧いた泉。
そこから流れた川にはほとんどコトニの名が
付いている。
そして西部山岳地帯から流れ出た円山川、界川
等諸川と合流し総合的に琴似川となり、石狩河
口近くで伏古川と合流し石狩川に。
この伏古川も伏流水化した大河サッポロ川の
アイヌ語フシコサッポロペツを漢字文字化し
たもので時に伏籠と当て字されている場所もある。
琴似の語源がコッネイー窪地・になっている
・処というアイヌ語からきているから、琴似川の
名の原点は、三つのメムのあった北大植物園・
偕楽園・清華亭を源流とする窪地ゾーンが発祥地
なのだ。
吉増さんが北大傍のホテル13階から俯瞰した
窪地の感覚は、正に北大の広大な空間の原点を
見詰めていたと思う。
それは札幌という土地の<窪み・籠る>水の
大地、春楡(エルム)に代表される森の大地
の姿でもあるのだろう。
<19世紀後半まで><北海道が地球上で最も
美しい自然が豊かな島であったに違いない。>
(水越 武ー写真家 道新2002年12月3日
夕刊記載)
と語られる自然が近代百余年前まで札幌にも
あっての今なのだ。
自然と直接対峙する札幌という近代。
北海道大学の広大なキャンパスとその界隈は、
そのまま自然を問い、近代を問い、札幌そのもの
を問うている。
吉増剛造、今福龍太、小篠隆生の3人が熱く燃えて
語ったコアにはその近代の厚い扉を叩く炎が燃えて
いたに違いないと思う。
「大野一雄の記憶ー公演ポスターを主に」ー9月24日まで
am12時ーpm7時{火・木・土・日)
am12時ーpm4時(水・金)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503