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2017年 08月 03日

水に咲くー緑陰(9)

高臣大介ガラス展「水に咲く」が大丸7階で
開かれている。
花人 村上仁美さんも花で参加している。
2014年吉増剛造展「水機(ハタ)ヲル日」に
自宅庭から樹の根を掘り起こし展示に参加、翌年
の同じ吉増展「怪物君 歌垣」ではコウゾの木の
皮、そして今年の吉増展「火ノ刺繍」では砂と土
と石の丘を展示し吉増さんから続けて高い評価を
得た人である。
この間の吉増剛造展で映像の鈴木余位さんととも
に秘めた才能に火が点いたといえる。
吉増さんとともに、最初の樹の根の展示に深い
関心と評価を与えたのは、ガラス作家の高臣大介
さんだった。
その後彼は村上さんを自ら指名し、初ともいえる
ふたり展を開いた。
そして今回の大丸個展、今年9月パリでの初展示を
前に村上さんと組んだのだ。
「水に咲く」。
タイトルも彼女に相談したと聞く。
植物園ー伊藤邸ー偕楽園緑地跡ー清華亭ー北大構内
この緑の運河エルムゾーンに近い札幌駅大丸店。
かっては泉(メム)が至る処に湧き出し、川となり
湿地となって、アイヌ語で野傍ノ泉池(ヌプサムメム)
と呼ばれた一帯に続くゾーンである。
そこに明治停車場が建立され駅前通りとなり現在の
JRタワーの聳え立つ一大繁華地となっている。
私は今回久し振りにこのビル内に入った。
地下鉄から連動するショッピングビルの中の大丸。
店舗の横列通路とエスカレーターの上下の連続、位置
関係が混乱して一度何とか外に出てあらためてビル内
へ入り。やっと展示場に辿り着いたのだ。
もうここは私の知ってる駅ではない。
色んなショッピングセンターが複合した巨大な掃除機
のような吸収構造のタワービルだ。
暑さもあり、脱水気味で、軽い熱中症のようだった。
個人的な疲労は別として、7階エスカレーター正面に
ガラスの展示はあった。
大きく被さるような枝・梢。
そこの下にキラキラと照明を浴びて透明なガラスたち
が輝いていた。
私は展示正面より、内側からそのガラスと梢の姿を見た。
その方が光の反射が細波の波頭のようで、美しかった。
ガラスは光が命である。
小さな華と上に被さる梢に、緑陰・水に咲く・・・と
大介さんのガラス自体が、花であり、水であると思えた。
彼の作品制作の原点のひとつでもある、湧く水・泉を
思ったのだ。
中央巨大資本と多くのテナントショップで埋め尽くされ
た旧札幌駅。
もうここでは札幌駅という呼称はなく、ただサッポロ~
サッポロ~と地下鉄駅名が連呼されるだけである。
従って駅前通りも絶えて来つつある。
通りが消えて、タワービル上下に人が吸引され各パック
空間横に人が掃き出され消費と散っていく。
エスカレーター、エレヴェーターが電気動力で間断なく
動き、安全注意警告が自動音声で絶えず流れる指示表出の
音声と画像の流通空間。
そこに枝・梢の陰が拡がり、光の露を溜めた透明なガラス
の水の花が咲いていた。
遠い湿地帯の、足元深く沈み込んだ本当の地上・地下の世界
がほんの一瞬だけど煌めいて、<水に咲<>は遇った気がする。

*「大野一雄の記憶ー公演ポスターを中心に」展ー8月8日(火)ー27日(日)
 am11時ーpm3時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2017-08-03 16:22 | Comments(0)


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