テンポラリー通信

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2017年 08月 01日

ホップ・ステップー緑陰(8)

それぞれの今を垣間見せて5人展「脈」終わる。
個人的には個々のこれまでが脳裏に浮かぶ。
その中でチQ君こと平野貴弘さんと岡田綾子さん
の新たな旅立ちのような今回の作品に惹かれた。
8年前沖縄へと旅立つ直前、友人の佐々木恒雄さん
とチQ君ふたりの旅立ち展があった。
佐々木さんは道北網走へ、チQ君は南の島沖縄へと
南北へそれぞれが札幌に別れを告げた。
その時「白虎」と名付けた覇気に満ちたチQ君の絵画。
そして佐々木さんの「朱雀」と名付けた凝縮した火の
ような赤の絵画。
このふたつの作品を会期中描き上げ、ふたりは札幌を
離れたのだった。
那覇、石垣島等を漂流した後定着を諦め札幌に帰った
チQ君は、なおも新たな旅先へここ数年模索・混迷し
ている感があった。
今回、8年前置いていったままの「白虎」を、敢えて
持って帰るように申し渡したのは私だった。
その事がチQ君をもう一度原点からこの絵画と向きあう
切っ掛けになったようである。
今年の誕生日に描いた同寸の絵画と8年前の作品を
両脇に置いて無地の同寸大の板を晒したのである。
これは覚悟と言っても良い決意を顕していた。
作品は完成し、彼は再生と復活の端緒を得たと私は思う。

岡田綾子さんは、11年前23歳の北大生村岸宏昭さん
が高知・鏡川で不慮の死を遂げた時、真っ先にここに駆
けつけお盆でシャッターの閉じたテンポラリーの前で泣
いていた女の子だった。
この2週間前テンポラリースペースで最初で最後の個展
「木は水を運んでいる」を開いたムラギシの不意の死。
その瑞々しい豊かな才能と共にこの死は長く今も我々の
脳裏に残っている。
その後3年かけて・遺作展・遺稿集を我々は創ったのだ。
遺された記録・作品は今も生前の彼を知らない人たちにも
影響を与え慕われている。
そしてこの10年、岡田さんはムラギシの死にひとり泣き
じゃくっていた優しく弱々しい女の子から、凜とした明る
い女性へと変貌し5人展に参加してきた。
それは私が初めて見る作品が雄弁に語ってくれた。
最近結婚したという人生事もあったのだろうが、ムラギシ
死後ある時期の彼女を遠目ながら知る私には今回のすべて
の作品に、彼女の心の再起・復活を感じずにはいられなか
ったのだ。
そしてその事はとても嬉しい事であった。

展覧会を少し離れ、個人的な記憶の側面から私の小さな総括
をここに書き記しておきたい。

*「大野一雄の記憶・公演ポスターを中心に」展ー8月8日(火)
 ー27日(日)am11時ーpm3時

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2017-08-01 16:57 | Comments(0)


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