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2017年 04月 14日

薩川益明さんの死ー暗渠(7)

高校時代化学の教師だった薩川益明先生が亡くなっていた。
金沢に住むご長男の方から訃報が届いた。
4月7日没、享年92歳。
私は大学を出てこちらに戻りそれからの方が、先生とは
親しくなった。
長万部に移住していた先生だが、札幌南部中島公園近く
牛乳屋さんに生まれた先生は札幌への想いが深く、今展示
中の八木保次さんとも幼なじみで、やっちゃん、まっちゃん
と呼び合う仲だった。
そんな事もあり当時の私の札幌再発見の旅に付き合ってくれ、
集中的に歩く行動を共にしてくれた。
界川の道、琴似街道、茨戸街道、石狩海辺の古道、琴似川
源流行等々・・、先生の幼少・青年期の記憶の道を新たな発見
とともに歩き廻った事を思い出す。
科学者でもあり、詩人でもあった薩川先生はアイヌ語にも堪能
で、レップというアイヌ語の日本表記烈々布の地名の解釈で私
と違う想定で意見を闘わせたりもした。
先生と私の他に若い美術家O君も参加して、歩いた風景の記憶
をふたりの作品にして展示会を開いた事もある。
不思議な事に八木さんの資料とともに、その時のふたりの
展示した合作小冊子が出てきて、何と言う事なくそっと八木
資料の傍らに置いておいたのだ。
その時は先生の死はまだ知らず、先生とO君が十二軒通りを
経て奥三角山から麓の八木アトリエを訪ねた時を思いだした
からである。
その時の。”やっちゃん、まっちゃん”と談笑しあう写真が遺
されている。
先生は本当に嬉しそうだった。
教師生活も札幌向陵中学、西高と長く、晩年は長万部に移住
しそこで奥様を看取りその間長万部から札幌を訪れ、幼少期、
青年期のよく知る札幌界隈を私とともに歩き廻った。
そのハイライトのように幼馴染みの保次さんと会っている。
もうこの時ふたりは昔の悪餓鬼のように無邪気だった。
そしてふたりに教えて貰った旧円山温泉の建物、其処に在った
今で言うキャラルター正っちゃん人形の話とかは忘れられない。
黒沢明のその頃の札幌を背景にした映画「白痴」のクライマッ
クスシーン、厳冬の凍った中島公園池での氷上仮装パレード
その地元の祭の記憶も保っているふたりだった。
夏は夜野外で大きな映写幕が吊られ映画も上映されたという。
その銀幕の裏で遊んでいたよ、とふたりは話していた。
餓鬼大将のやっちゃん、その家来のような年下のまっちゃん。
ふたりの話は止まらなかった。
そんな機会を提供する切っ掛けとなって、札幌の変わり目を体験
していた私にも幸せな時間だった。

先生、
きっと棚の奥から、「彩」八木保次・伸子展に”やっちゃん!”と
声かけながら、堪らず出て来たんですね。
明日から、あの時のふたりの談笑の写真も添えて置きますね・・・。
先生、八木保次さん・・・、 有り難うございました。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月11日(火)ー23日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休:水・金は都合によりpm3時閉廊
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月初旬~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503 
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by kakiten | 2017-04-14 14:10 | Comments(2)
Commented by 髙橋秀明 at 2017-04-14 19:52 x
 中森さんの記事を拝読して、薩川さんのご逝去を知りました。4月7日は、僕は、朝一で母親の通院に付き添い、夜は歓送迎会で、小樽の牛角にいたな。薩川さんはその日に亡くなられたのですね。それほど寒さも厳しくなく、穏やかな夜の日だった。人気のない堺町の通りを一人で酔い覚ましに歩いていました。仕事の繁忙が、中森さんのブログを開く機会も奪い続けていますが、今日は、たまたま宅急便をどうしても受け取らざるを得なくて在宅していたため、ブログを拝見して訃報に接しました。深く哀悼の意を捧げます。合掌
Commented by kakiten at 2017-04-15 12:23
高橋さん・・、「去る四月七日病状にわかに悪化し、午後二時十一分 享年九十二歳で他界いたしました。約二年九か月間の闘病生活でございました。葬儀は四月九日に滞りなく相済ませました。」と訃報には記されていました。
奥様亡くなられてから、たまに長万部の方に電話したのですが誰も出られなく、留守かなと思っていましたが、金沢に入らしてたのですね
今週毎年展示している八木保次・伸子追悼の作品展示作業中奥から薩川さんと小川君の詩と装丁の合作本がぽろりと出てきて、八木宅でまっちゃん、やっちゃんと嬉しそうに談笑していたのを思いだし、そっと資料の傍らに置いておきました。そして訃報が届き不思議です。
薩川益明の第三詩集の行く末も知りたいところです。


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