2017年 03月 11日

抱擁構造ー湿地帯(19)

無心な赤子をこの間二度見せて戴いた。
昨年末鯖江市から里帰りの森本めぐみさん
「百年の予定」展で。
そして先週終わった「分母」展で最後に訪れた
久野志乃さんの赤子。
何故か、私にはこのふたつの展覧会と二組の母子
の印象が、重なって感じるのである。
抱き抱かれ、包み包まれた抱擁構造である。
出産間もない森本めぐみさんが、生まれてきた
わが子に思いを馳せ「百年の予定」とした個展。
そこには自分の人生に連なる我が子の時間が加わ
って、命繋がる時への祈りがある。
「百年の予定」とは指示表出の百ではなく、自己
表出の祈りから溢れた百なのだ。
そしてメタ佐藤さんの写真作品、その大きな転機・
変化を一冊の手作り本に包み製本した中嶋幸治さん
の「分母第二号販売展」展もまた、包みつつ包まれ
る作品を通した抱擁構造にあった。
母子の抱擁構造が母・子の心と身体の相互関係から
抱き、抱かれる関係であるように、作品という創造
の子もまた抱き抱かれる抱擁構造を保っている。
この時通底し共通するものは、人の心身から発する
全身・全力行為と思える事だ。
自・他の関係性が指示表出に拠る事が多い現代社会。
心身を基底にした美しい全身行為が薄れつつある。

人は本来、<抱き 抱かれ・包み 包まれ>る抱擁
構造を、水に、光に、風に、人に、森羅万象に身体
を保って逢い対してきた。
その本来の姿をもう一度見つめ直し回復させなけれ
ばならない時代と思う。


*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月初旬~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2017-03-11 13:37 | Comments(0)


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