テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2017年 03月 07日

2日間のライブー湿地帯(17)

間断無く濃い2日間だった。
当初2日間という日程は通常より短い気がした。
しかし実際は濃く芳醇な時に満たされた2日間だった。
一冊の本の内容と制作過程、そのライブの時間といえる
のかも知れない。
そう思えば2日間という時間の尺度が変わるのである。
量数の多さが主体の本の時代に対して、一冊一冊の質量
で今回の本は創られている。
紙・印刷手法一つにも5種類の用紙・印刷で創られた
今回の冊子「分母第二号」。
そしてその一冊に特集されたひとりの表現者と作品。
作家・作品という素材を本という形で包む知的容れ物が
料理と盛る器のように本となって顕れている。
中嶋幸治の製本という作品行為が、ひとりの作家を見詰め、
抱き、提出している。
この本を購入した多くの人は、目の前で素材が調理される
のを見ながら出来あがった料理を戴くような満足感で立ち
会っていたのだろう。
当初今回の2日間という期間や一冊の値段を考え、否定的な
考えも多かったと聞く。
しかしそれは基準が違うのだ。
あるライブ、板前さんの調理料理と考えれば、ある程度の
値段も時間も個人的満足度の内に消えてしまうのだから。
今回作り手も来た人も個の満足の内にいた。
目の前に作家と作品があり、それを包む製本という形の
中嶋さんの作業がある。
来た人ひとりひとりにとっては、2日間とは充分な時間で
あるからだ。

私達は何時の間にか量の利ー<量利>の環境に慣らされている。
本来ひとつづつ素材と向き合い<料理>せねばならないもの
がある。
そんな現代が遠く置き忘れてきたような製本という行為を、
美術家中嶋幸治は敬愛する写真家メタ佐藤の作品を通して
ライブする稀有な展覧会であったと、今言える。

*中嶋幸治「分母第二号販売展・特集メタ佐藤ー包み直される風景
 と呼び水」ー展示のみ延長3月8日午後3時まで。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー4月上旬~。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

by kakiten | 2017-03-07 14:36 | Comments(0)


<< 「分母」展終了ー湿地帯(18)      包み・包まれて・・(Ⅱ)ー湿地... >>