2017年 02月 17日

掌の耕地ー湿地帯(5)

旧友工藤正広氏が今北海道文学館展示中の「”手仕事の
日本”と民芸の思想」展で出版された「民芸との遭遇」
という小冊子を届けてくれた。
主催者である三浦正宏、工藤正広、平原一良の3人が
寄稿している。
その中で心惹かれた工藤氏の一文。

 比喩で言うと、わたしは洋紙ではない。手製の和紙
 といったところか。精密な機械で織る布ではない。
 手織り。電気ミシンで縫うのではない。一針一針手で
 縫うような、綴れ織りのようなことだ。
 ぼろを継ぎはぎする綴れ織り。そんなふうに思うと、
 おや、民芸のコンセプトと、方言で表現する仕事が
 同じことだというふうに思われてくる。
 ・・・・
 たとえば、今展で見られる津軽の「こぎん刺し」の
 きものについていえば、これは言語表現に置き換えれ
 ば、見事な方言詩の言語体、文体と譬えてゆるされる
 だろう。

ロシア文学者・詩人で今展の企画者でもある工藤正広なら
ではの優れて鋭い指摘である。
方言の保つ言葉の響きも含めた総体的な言語の手触りが、
手仕事の掌(たなごころ)と見事に木魂している。
この通底するラデイカルな木魂力が、北海道立文学館で異例
の民芸展を企画させたエネルギーだろうと感じる。
前日このブログで触れた高臣大介のコップへの想いとも、どこ
か木魂しながらこちらも読んでいたのだ。
カルチャーの原義が耕土という事が忘れられる現代。
本当に触れるという事が開墾する真実。
そこを基点として拓かれた風土・感性の響き・手触り。
耕土・風土が空洞化しつつある時代に見事に対峙する
文章と思う。

*高臣大介ガラス展「奏であう」ー2月19日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
*中嶋幸治展ー「分母第二号販売展・特集メタ佐藤ーその包み
 直される風景と呼び水」ー3月4日(土)5日(日)
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー4月予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



 
[PR]

by kakiten | 2017-02-17 13:53 | Comments(0)


<< それぞれの飛翔ー湿地帯(6)      透徹する掌ー湿地帯(4) >>