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テンポラリー通信

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2016年 12月 17日

寒気の縦軸ー茨(イバラ)・戸(ト)(23)

一面白の世界、寒気が鋭い。
道が小さな山・谷を刻んでいる。
両脚の間は山になり、踏みつける足裏の部分は
谷となる。
山の傾斜に滑り、谷へと足が奪われる。
時に道が雪除けの山で塞がれ、車道へと追い出される。
すると自動車のゴムタイヤで磨かれたツルツル路面が
足を奪う。
そして車が背後から近づく。
移動の横軸が自然の寒気の縦軸に足止めを受けている。
踵の重心を垂直に心懸け地に降ろさなければ、道は転倒
の危険に満ちている。
本来、風景の天地の垂直軸の中を五体五感の重心と共に、
爪先・踵交互に踏み締めながら歩くのが人間の姿なのだ。
都市ではそうした人間本来の歩行リズムが消えて、移動の
<移ル>エネルギーが主となり支配している。
身体外の資源消費エネルギーで眼も耳も体全体がエレキ漬け。
身体機能は操作と確認だけの受動体だ。
従って人の行動パターンは、機械や電波の速度に深く類似し
ている。
その行動は、速い・遅い、新・旧二元論的価値を纏い、利便性
・効率性を伴って、終わりなき比較価値観レースの滑り台。
<最速・最新>を金科玉条とする世界は、描き割りの舞台風景・
空洞の張り子のようだ。
すでに街の風景はそうなっている。
記憶の垂直軸に残らない種々ショップ・建物の消去は、日常の
ありふれた風景だ。
都市からは、故郷の<故>も<郷>も消えている。
<故(ゆえ)>という踵(かかと)のアキレス腱が、現象だけ
の新旧転換に滑って切れているからだ。
空洞化の進む、故(ゆえ)というアキレス腱の切れた世界。

凍てついた滑る路面は、自然という神からの囁きのような警告
とも思える。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日
 am11時ーpm5時:2日(月)休廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


by kakiten | 2016-12-17 16:01 | Comments(0)


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