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テンポラリー通信

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2006年 06月 17日

振り返ると一ヶ月ー斜め通り界隈(2)

高臣大介展が始って静かにこの場もスタートした。百本の吊りガラスをひとつに
束ねるように吊った<今、房々と北のガラス>という東京展のキヤッチコピーが
生きた作品は大介さんの想いが結集している様で嬉しかった。ひとつひとつは
バラバラの形だが百本を束にしてひとつになるとそれはまた別のオブジエのよう
になる。束にするという行為がそのことを可能にする。そして百本が次々と足され
て形を作っていくのを見ながらそれ自体がインスタレーシヨンで日常の物が非日
常に変っていくのが面白かった。そしてその行為自体に大介さんのここの場所
への深い気持ちを感じていた。以前と比べあるいは狭く、不十分な所を多分多く
感じながらも彼のその百本の束ねる行為に私はきっと感謝し、見ていたのだった
。会期中この百本の透明なガラスは朝、昼、夕の光を浴びて会場の中央でいつも
キラキラと輝いていた。ガラス工芸家として今は決して美術の抽象を望まない彼が
束ね重ねるという行為によってある抽象を造った。用の作品が非用の作品へと変
貌した。その転換点に我々の友情も想いも篭もっていたと今は思う。ちようどこの
空間がひとりひとりの釘打やペンキ塗りのひと刷けで出来てきたように。会期中
最初の展覧会が高臣大介展でスタートした事に間違いはなかったという確かな
ものを私は私なりに実感していたのだった。遅ればせながら大ちゃんありがとう。

振り返ると5月16日長野県での個展を控え超多忙な彼がとりあえず先に展示だけ
を済ませその日をこの場所の仮オープンの日としてこれまで手伝ってくれたみんな
と慰労とお披露目を兼ねて集まった日はまだ棟梁中川さんは床下の排水管の設
置に汗を流していた。縁の下の狭い空間に小柄な熊谷透さんが潜り込み最初設定
したが不備ですぐ外れ替わりに賀村順治さんが潜り込み完璧に排水管を取り付け
た。背広を脱ぎきっちりと仕事をした賀村さんは泥だらけだったが格好よかったなあ。
もういろんな人が集まりだして宴会の準備はどんどん進んでいたが狭い穴に潜り
仕事はまだ続いていた。東京から及川恒平さんもみえて周囲は華やかになってい
た。ドイツから一時帰国の谷口顕一郎さんことケンちやんもいてたくさんの料理や
飲み物が集まってきていた。東区の熊谷直樹さんが届けてくれたさっぽろの地ビ
ールはさっぽろの川の地図が印刷されていてそのビールで乾杯となった。そのうち
及川さんが唄いだし、酒井博史さんが吹き抜けの上で唄いだした。ライブを終えた
クラシックギターの村岸宏昭さんが待ちかねたようにギターを弾きだした。次々と
役者が変り音が唄が絶えなかった。仕事をし、終えたら飲み唄う、いつものパター
ンはこの日も変らなかった。いつもと違うのは料理の量とお酒の種類の多さそして
人の数の多さだったが基本的には同じだった。特別に構えているところはなにもな
かった。だからみんな自然と唄い飲み、聞き話していた。深夜12時近く大介さんと
ヒロシさんのデユエットは傑作で遅くにきた久野志乃さんとう薄木りなさんが黄色い
声をあげて喜んでいた。あの夜自体が<今、房々と>としたガラスのように光って
いたと思う。1週間後本当の高臣大介展の初日は明朝ドイツへ帰るケンちやんの
ハイローズの「月光陽光」の歌声が一年ぶりに会場のなかに響いていた。

by kakiten | 2006-06-17 12:29 | Comments(0)


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