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テンポラリー通信

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2016年 05月 15日

内臓言語・筋肉言語ー鉄橋(30)

SさんとMさんが相次いでこの秋までにご出産と聞く。
どちらも9月予定の山田航第二歌集「水に沈む羊」を主題とする
展覧会に予定していたが、今回は無理と思っていた。
するとMさんから参加したいと連絡があった。
さらに年末年始会場使えるかとの問い合わせもあった。
初子誕生で里帰りと同時に個展もする気がした。
フイジカルな生誕とメタフイジカルな創造。
すごいな、そして嬉しいなあ、と思った。
札幌第二の実家だぜ。
なんて勝手にイメージしている自分だ。

Mさんに刺激されもうひとりのご懐妊組Sさんにも連絡した。
Mさんの話をすると、Sさんも刺激を受けたようで山田展検討する
と応えた。
それから四方山話になり、何度も再放送されたNHKの胎内時の
子供の話をした。
頭部だけが未完成で未熟なまま出産するのは、二本足の人間
に特有のものという。
他の動物は頭部もすべて基本的に完成して出産するらしい。
四つ足でない人間は産道が狭く、頭部が柔らかな状態でないと
出産に支障を来すからだという。
そして子供が胎児の時は、親に負担をかけない為に、昼夜逆転
した生活リズムで生きているという。
従って生まれた後もしばらくはそのリズムが続き夜泣きとなる。
また頭脳の発達も始まり、先ずは自我の形成があり反抗期が
形成される。
そして外界・他者への思いやり、配慮といった脳部分が発達
してくるという。
これら子供特有の現象に母親がひとり責任を背負い込み悩む
の必要はないという科学的検証だ。
人類誕生以来培ってきた身体の構造を赤ちゃんは担って
生まれてくるのである。
そしてさらにかってあった社会的相互扶助の習慣が消えて行き
つつある事も警鐘していた。
Sさんはこの話をしたら、参考になるわと喜んでいた。

先日Mさんと待ち合わせし、Mさんの車を待っていた。
見覚えのある銀色の車体が止まっていたので、すぐ助手席に乗った。
すると一斉に悲鳴のような声が上がった。
同型の車だったが、違う人の車だった。
夜だったので内部が見えず間違えたのだ。
その時運転席にいた男性は、「これはタクシーではない!」と言った。
後部座席の子連れの女性は、「これは内の車です!」と言った。
後で女性と男性の吃驚して咄嗟に出た発想の差異を想い出す。
タクシーという社会的インフラの目線。
家の車という個人的内向きの目線。
男の筋肉言語と女性の内臓言語の発生の差異がよく出ている気がした。
MさんもSさんも今胎内の内臓言語に耳を傾けている日々である。
赤ちゃんという新たな生きた内臓が、やがて外に現れる。
そして五体五感・五臓六腑を成長させ、同時に人間として第六の臓器
脳を成長させ、第六感も備えMさんやSさんのように第六体の創作とい
人間ならではの作品・創造も担っていくようになるのだろう。

人と人は究極の処、内臓の付き合いだなあ・・・と思う。
筋肉言語でもそう言うじゃないか。
腹を割って話す、腹蔵無く付き合う、・・・と。

*「石狩・吉増剛造」展ー6月5日まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休:水・金午後3時以降休廊。

 テンポラリースペース札幌市帰宅北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-05-15 12:02 | Comments(0)


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