2016年 01月 21日

後日談・寒気廊ー泉(2)

露出した指先に寒気が凍みる。
悴んで鈍い痛み。
水道は凍っている。
止水のバルブも回らない。
ポットに入れておいた水を沸かす。
そのお湯をバルブに注ぎ緩める。
ストーブを点火し部屋を暖め、トイレは電気ストーブ
を点け排水槽の氷を溶かす。
それら一連の作業を終えて当たり前の日常が戻る。
多少気温は上がったが、室内は依然として冷え込む
毎日だ。
展示の無い日の日常風景。
合間を見て夕方からの水・金の通院とその前の時間に
寒さへの対応が日常だ。

先日、勤務先休日の村上仁美さんが最後の片づけをする。
作品に使ったコウゾの樹皮を束ね、やつと終ったわと言う。
大木のように立っていた樹皮は束ねられると、思いの外
小さくなる。
幹無く根も無く枝も無いのに、コウゾの皮は樹皮の位置に
構成されると、そこに木の存在感が生まれていた。
外され束ねられると、皮は皮だけの存在となり、小さく
薄い存在となる。
たまたまTVでコウゾの皮から和紙を創る東秩父の村の
映像を見たが、自然のコウゾの木の形は正しく展示して
いた形態と同じだった。
樹皮は皮膚のように自然にそうして立っていたのだろう。
吉増さんが、吉本隆明の追悼で語っていた、”没後の恩人”
という言葉をふっと思い出している。
吉本隆明の26歳~27歳に書かれた「日時計詩篇」を
筆耕し続けている「怪物君」草稿を見事にあしらいコウゾ
の樹皮を纏い作品化した村上作品の芯には、この追悼と再生
への深い想いが宿っていた気がする。

山田航さんの”ハイウエー”を連呼する詩の絶叫も見事だった。
吹き抜け階上から録音された朗読と唱和し競う階下の生の朗唱。
最終週の3日間幾度連呼した事か。
その度に朗唱は巧みとなり磨かれた。
その内のひとつを写真家の竹本氏が動画に収め、作業を終えた
村上さんに見せてくれた。
初めて見、聞いた村上さんは、感動している。
年末年始の仕事多忙で吉増さんとも会えず今回の山田さんの朗唱
も初めて聞いたのだ。
鈴木余位さんは、オープニングと最終日片付け後山田さんの朗誦
は撮影もしていたから、これで初めて3人の今回の作品が3人に
共有された事となる。
竹本さんの山田航動画はその内Uチューブで公開される事だろう。

「怪物君 歌垣」展後日。
一度倒され新たに完成したコウゾの樹皮の作品は見ずに帰京した
吉増さんからFAX通信来る。

 1/9ケイオーの三田にて仁美さんのお心の姿の天に舞うよう
 なミゴトな空気を文さまのケータイでのぞいていました・・・
 「歌垣」の命でしたね。

冷えこんだ冬の空気が支配する日常の底で、いまも熱い底流が
伏流水のように流れていた。
その底流はまた泉となって、26日から始まる高臣大介展で
熱く溢れ出るだろう。

吉増さん、鈴木余位さん、村上仁美さん、山田航さん、そして
品切れともなった名作フライヤーを制作してくれた中嶋幸治さん、
酒井博史さん、要所要所的確な助言で会場構成を5年前の展示か
ら支えてくれた河田雅文さん、本当にありがとう御座いました。

*高臣大介ガラス展「みつめあう。」-1月26日(火)-31日(日)
 前期器を中心に。2月2日(火)-7日(日)後期インスタレーション
 を主に。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2016-01-21 13:02 | Comments(0)


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