暖気が一転強烈な寒波で凍りつく。
ツルツル路面に足元が危ない。
ドイツへ一旦帰国する谷口さんと一杯飲む積りが、この寒気で
待っている内に具合が悪くなる。
次回の滞在を待って今回は諦める連絡をした。
残念だがビールを飲む気持ちになれない。
新聞原稿校正のパソコン操作に手間取り悪戦苦闘・・疲れる。
字数制限があるので、削除や書き換えの操作が分からない。
アナログ人間には原稿用紙が相応しい。
プリンターも故障しているのでお手上げである。
そんな苛々した時間と寒さですっかり気持ちも体力も落ち込む。
ドイツに着いて1年後に書かれた長文の彩さんのシベリア旅行記
を片手にふたりの心の糸で繋がった札幌ーベルリンを思う。
凹みと呼ぶ路上や壁の亀裂を素材として彫刻作品を創り続ける谷
口さんの、もうひとつの姿は、この彩さんとの旅に象徴される継続
と共生の連続する糸の姿だ。
この事をしっかりと稚内ーサハリンーシベリアの1ヵ月のふたりの
旅の記録を通して伝えねばならない。
それは札幌という北の地に住む我々の本当は一番近い北周りの回
路でもあるからだ。
東京を経由し南周りの飛行機の道は早くて快適かもしれないが、
それ故切り捨てられ断絶する回路が本当の亀裂・凹みなのである。
土地とそこに住む人と自然との関わりを具に体験しつつドイツへ。
その大切な経験を抜きに今日の凹み彫刻は無い。
亀裂と継続の対極の視座が作品という磁場を生んでいるのだと、
私は思う。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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