朱色の蔦が家屋全てを包み、緋色の燃える炎のようになった晩秋
その中で静かに柔らかな展示作業が続く。
百葉近い手書きの葉書をこれまで送ってくれた「橋を渡って」を
テーマとする今回の展示、その集大成である。
一枚一枚描かれた葉書を繋げると、そこにひとつの触れるものが
見えてくる。
この葉書自体がひとつの橋桁でもあるのだ。
それは時に指先であったり、足であったりもする。
生まれ育った傍を流れる大河を渡って異郷を見詰める、
その行為を徹底的に意識化する事、それが実に柔らかい感性で
直向に表現されようとしている。
ここでは3度目の展示だが、さいしょの3人展では鳥がテーマ
で、その遠くを俯瞰する基本姿勢は変わらず、今回の「橋を渡っ
て」という主題にもつながっているだろう。
鳥よりもより地に足をつけた身体性を保って。
夏と冬の間を紅葉という真っ赤な橋が渡っている。
その赤い橋に負けず鮮やかな秋元さなえの橋が生まれる。
そんな期待を感じさせる展示である。
*秋元さなえ展「橋を渡って」-10月28日(火)-11月8日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503