昨日の道新夕刊に4段抜きのトップ記事で谷口顕一郎の
作家と作品紹介が載っている。
札幌国際芸術祭作家と作品紹介の一環ではあるが、内容
的には500m美術館展示作品以外に、今回の琴似川を
主題とする試行作業全般を考察し紹介してくれている。
面白かったのは、「場所性」という知的考察に対し一方
で好奇心いっぱいの遊び心を併せ持っている人物像を紹
介している事だ。
路面や壁の亀裂や破損箇所を凹みとして見詰め再生する
彫刻家という名の変な人。
その一面を「知」だけではなく、「遊」の側からもアプロー
チしている。
偶然出会った路上や壁の亀裂が純粋に面白いと思う感性は
遊び心の為す目線なのだ。
その場所がどういう由来の場とかいう知的なものは後から
の理論付けであって、最初は単純にその形態の面白さ・美
しさに惹かれる遊び心が優先するのである。
そうした芸術家の放逸で快楽的な側面をこの紹介記事は
さりげなく触れているのだ。
サハリン・シベリア経由で約10年前渡欧した谷口顕一郎
が、もし変化し変わったものといえば、この遊の心と同時に
知的好奇心もまた成長して来た事であるだろう。
故郷・札幌への俯瞰する視線を視座として今獲得しつつある
事にその側面を見る事が出来るからだ。
知と遊。
この両方のエネルギーをエンジンに作家はさらなる成長を
きっと成し遂げる事だろう。
*谷口顕一郎展ー7月27日(日)まで。am11時ーpm7時
*斉藤周展「日々の行状」-8月1日(金)-19日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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