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テンポラリー通信

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2014年 07月 10日

台風近づくー水系・文月(5)

山と海に近いふたつの護岸という回路に思いを寄せていたら、
土石流と高波の台風の映像が飛び込んでくる。
何十年に一度という大型の台風が襲来したのだ。
遠い南の海に発生した台風は、梅雨前線を押し上げ今晩
あたりから北海道にも雨風を及ぼすという、
地球という星に生きる生物を透明な綿のように包んでいる
水と空気という有機体。
その柔らかで透明な存在が凝縮して野生の牙を剥く。
荒ぶる自然の前に人はひたすら耐え忍んで通過を待つので
ある。
折しも「都市と自然」をテーマに札幌国際芸術祭が始まる。
時期も重なって、その主題の真価も問われているのだ。

今年は住宅街への熊の出没も多発し、自然という野生が
本性を顕している。
都市化という自然破壊が進行すると同時に、自然という野生
がどこかで人間社会へ逆襲する反動が何倍返しかで用意され
ているかに思える。
空を飛ぶ金斗雲や力を増幅する如意棒を得た孫悟空のように
人間という進化した猿の驕りは、所詮お釈迦様という自然の
掌の中である事を今感じなければいけない時なのかもしれな
い。

山の斜面に添って伸びる石段という護岸と、川の蛇行に沿っ
て延びる岡崎式単礁ブロックという護岸の自然への敬意ある
回路。
そこに、すぐ前の時代まで在した先人の自然への畏怖と敬愛
の形象を今も真摯に存在するものとして見るのである。
都市に特化した500m地下通路や箱空間には、この畏怖と
敬愛の祈りの回路が無いのだ。


*谷口顕一郎展ー7月19日(土)-27日(日)am11時
 -pm7時:月曜定休。
*斉藤周展「日々の形状」-8月1日(金)ー10日(日)
*小谷俊太郎展ー8月26日ー9月7日
*秋元さなえ展ー10月28日ー11月8日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fac011-737-5503、

by kakiten | 2014-07-10 13:35 | Comments(0)


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