テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2014年 07月 03日

繋ぐものー水系・文月(2)

しばらく振りにパソコンに向かいブログを打つ。
毎日記してハミガキブログと言われたのが、最近
は櫛の歯の抜けたようなクシノハブログである。
ふらふらと自転車に乗って画廊に着き、パソコン
に打ち込んでいると電話が鳴る。
東京の川戸君からで今札幌に来ていると言う。
冬の吉増剛造展以来で、これから来るという。
川戸卿史君は不思議な風の子のような人で、ふっと
どこにでも現れる人だ。
ロンドンの吉増展にも出かけ、便りを送ってくれた。
今回も不意の訪問で、このところ自宅療養で伏せていて
何日かぶりの出勤にピタリと現れたのだ。
そして帰京前の慌ただしい時間に旧交を暖めて今月末の
谷口展にまた来ると言って別れた。

川戸君の訪問で中断したブログをなんとか打ち込み、ひょろ
ひょろと帰宅する。
すると玄関のドアノブにビニールの袋がぶら下がっている。
中には野菜が数種類入っていた。
K氏からの差し入れで、留寿都の採りたて野菜だ。
先週明治の治水学者岡崎文吉の映像を見せたお礼だろうか、
男の仕事のあり方の孤独に痛く共感していた表情を思い出す。
孤高の岡崎文吉の生き方と自らの半生をどこか重ねて別れた
家族の事を思い出し話していたからである。
家族と別れ自らのしたい仕事に打ち込もうとする心の柔らかな
部分に岡崎文吉の生き方が重なりK氏は何かを伝えたかったに
違いない。
それがこの留寿都の野菜と手作りのイチゴジャムに篭められて
いるようだった。
K氏とは古い知人ではあるが、こんなにも心開いて物を頂いた
記憶は一度も無い。
岡崎文吉が繋いでくれた縁である。

川の蛇行だけが蛇行ではない。
人間もまた蛇行する存在である。
参道という回路を創り、山という土の斜面に沿って陸の蛇行を
整える。
岡崎文吉が石狩河口で試みたコンクリートマットレスの自然工法
は、川の岸辺の石段のような仕事である。
自然の斜面に沿って敷き詰められた石段の参道は、畏怖する自然
への界(さかい)という回路であるのだろう。
その境界の世界を直線的に切り捨て、分断し、ショートカットする
近現代の効率本位の価値観の範疇に時として身近な家族もまた拉致
されてこちらを冷たく見詰めるのである。
K氏が届けてくれた新鮮な野菜には、そんな想いの愛憎がいっぱい
詰まっているような気がした。

*谷口顕一郎展ー7月19日(土)-27日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
[PR]

by kakiten | 2014-07-03 13:31 | Comments(0)


<< 凝縮し生まれる処ー水系・文月(3)      忘れられた石段ー水系・文月(1) >>