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テンポラリー通信

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2014年 06月 10日

作品という空ー星霜・水無月(7)

作品の中に作者の生も死も内包されてある。
佐佐木方斎の今回の作品にそれを感じている。
昨年の復活「自由群」は、その色彩といい、伸びやかな
筆致といい、描ける喜びが溢れていた。
今年の百号2点は、生きてきた傷だらけの人生を象徴し
死と隣り合わせの生の一点を凝視するかのように見える。
その意味では今までに無い独白的な作品である。
純粋抽象の作家がふっと到達した人生を吐露するような
無数の亀裂の入った青と赤の大作。
中心にそれぞれ一点方形の燃える点が印象的である。
青い血のような亀裂の入った画面。
赤茶けた血のような亀裂の入った画面。
これらは死のイメージで、そこに一点中央に方形の灯り
が灯っている。
無数の死の亀裂に対峙する命の象徴のように思われる。
絵で再生し、絵で死を見詰めている。
長い潜伏期間を経て今ここに自らの生と死を対自化し表現
したのだ。
それは優れて作家の業というものであるだろう。

*佐佐木方斎展ー6月15日(日)まで。am11時ーpm7時
 月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-06-10 13:15 | Comments(0)


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