夏個展予定のS氏が来る。
これまでのS氏の作品記録と私のブログ記載のS氏展評を
CDにデータ化して持って来た。
夏個展で今までの表現のひとつの区切りを試みる積りという。
それでこれまでの作品について、S論として文章化して欲し
いという希望だった。
データCDはその為の資料である。
今回の個展では絵画だけでなく、自分の出来得る表現手段で
色んな可能性を試みたいのだという。
純粋絵画の人と思っていたが、ある社会的な契機から一歩
世界を前に見据えて現実にコミットする気持ちのようだ。
夏の個展は彼にとって転換期の変わり目の個展となるだろう。
夕方1年振りだろうか、平面作家を名乗るA君が来る。
明治の治水学者岡崎文吉の映像発掘以来、是非この映像を
見せたかったA君である。
石狩川の上流域旭川で生まれ、宮崎駿の「風立ちぬ」を絶賛
していた彼に、私は是非見て欲しかったのだ。
見終わってから最近の様子をぽつりぽつりと話す。
彼もまた才能ある人で、行動し旅をし表現する人である。
デザインから写真も手掛けそれぞれに評価されながらも、
その枠に留まらない大欲を持っている人だ。
彼もまた次回の展示へ向けて転換期にある。
自分の表現のひとつに偏らない全面展開への欲求である。
その契機は、今ある現実の生活を見詰める誠実さから発して
いて、S氏と同様に自己への問いから生じていると感じられた。
ふたりのそれぞれに共通する自己表現への希求を聞きながら
どこかほっと共感している自分がいて、ふたりの新たな展開
を期待してこの日は暮れる。
*八木保次・伸子追悼展ー5月11日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503