人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2014年 02月 27日

雪緩むー一角獣・如月(15)

日中気温がプラスとなって雪緩む。
路面が顔を出し灰色の道。
福寿草やふきのとうも顔を出すといいなあ。
それには未だ早い晩冬。
ゆっくりと季節は動いているが、街は変わらず早足の
ショートカットの流れ。
人も物も文字も横に流れて直線だ。
気が付けば縦に書かれた文字がほとんど無いのだ。
横へ横へと道も人も文字も流れている風景が続く。
佇む事や振り返ることの垂心の行為はここにない。
噛み付くような獰猛な歩行が男女を問わず突っ走って
先の尖った黒いブーツが矢印のように飛んでいる。
道は通過する為の修飾された管のようにスムースだ。
立ち止まる装置はボックスと並列に展示された500m
アート壁。
横に流れる地下通路に目の引越しセンターのように
美術が並んでいる。
これが本当のアート引越しセンターというものである。
移動軸だけでそこに留まる<住>と<民>の根が見えない。
美術・芸術とは深い垂心の所為ではないのか。
縦軸の垂心が横軸の物流に執って変わられている。

未だ見えない福寿草やふきのとうの黄色緑色の春色。
光と水の天地への命の垂心がこの色を生む。
葉は光を求め、根は水を求め天地に深く触れる。
そして花開く広がりを生む。
最初から植物の生命は横軸ではない。
人間は動物であるが、本質的に植物に学ぶべきである。
人類は遠い先祖の時代から移動を繰り返し世界に散らばって
動いてきた。
しかし同時にその地に定住しその地の文化をも生んできたのだ。
移動は移住に、移住は移民になって国を生む。
現代の物理的インフラの発達は、ひたすらこの移動だけを主体に
走り続けている気がする。
スタートもゴールも断念も出立も見えない闇雲な移動の連鎖である。

街の時間に身を置いてそんな事を感じていた。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-02-27 13:05 | Comments(0)


<< ゴールデンバットー一角獣・如月...      余韻・ひびきあうー一角獣・如月... >>