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テンポラリー通信

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2014年 02月 26日

余韻・ひびきあうー一角獣・如月(14)

二本だけ置いていったガラスの房が揺れて澄んだ音を
響かせている。
揺れが伝わり、しばらくの間音色が絶える事はない。
最終日深夜まで飲み明かし語り明かした余韻のように
高臣大介の置き土産が響いている。
百三本の内の貴重な二本を記念に寄贈してくれた気持ち
を嬉しく感じていた。
ここから10年かけて千本まで、この響きあうガラスの
作品を創り続けると語っていた大事な一本一本である。
純粋無垢な純度の高い透明な骨のようなガラス。
器でもなくそれ自体は用のものではない透明な骨。
それらが吊られ触れあう事で光と音を奏でて、視覚聴覚
をひとつにした透明な小宇宙が顕われる。
透過する光が増殖し触れる音が増殖して、冬の光の万華鏡
のような世界が浮き上がってくるのだ。
これが千本となり、春・夏・秋の風景の内に置かれる時
それはまたどんな世界をそこに包含し顕れるのだろうか。
今はただひたすら冬の精を取り込み白く煌めく光と響きの
世界なのだが・・・。
かって冬に負けそうになった南からの移住者は、今はその
冬を美に囲繞し音と光の作品化を達成しつつある。
移住者は新たな価値を創る、新たな移民の歴史を刻みつつ
あるのだと思う。
この北の地に来なければ創り得なかったものを創り、
この北の地で再発見した冬の白い光と透明な音を育む。
そんな新鮮な出発の契機を今回の作品は孕んでいる。

北海道が、札幌が、他の地域に無い固有の光と音を保って
その違いが際立つように輝くならば、その時初めてこの北の
地は真に国際性を保った発信地となるだろう。

そんな期待を感じさせる余韻が響く高臣大介展の置き土産で
ある。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-02-26 12:28 | Comments(0)


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