久しぶりに晴れて、光燦々と降る。
写真家のM夫人が来て、興奮気味に写真を撮る。
接写を試みて作品のディテールに感動する。
幾重にも塗り込められた油彩の層が、朝の光の中で柔らかく
美しく浮かび上がるからだ。
作品の赤も黒も、単純に赤でも黒でもない深みを保っている。
それが接写のレンズにまた別の世界を顕現させている。
赤を秘めた玄(クロ)、黒を秘めた朱。
色彩は光であり、光が彩(いろ)を生む。
そんな透明な午前の光であった。
M婦人が帰って、その後N君とY君が来る。
ゆっくりと作品を見た後、ふたりが言う。
「ガラスを掃除したいのですが・・・」と。
入り口のガラス戸を綺麗に磨くというのだ。
そしてふたりで洗剤を拭きつけ、雑巾とマットでガラス磨き
が始まった。
するとさらに光が会場に溢れて、日差しの変化とともに会場
に光が満ちる。
久しぶりに青空の広がった、秋の透明な光がくれた友情である。
人が人を呼ぶように、声が声を放って作品が人を惹きつける。
M画廊やS画廊展示のTさんやOさんが駆けつけて来る。
話を聞いて堪らず飛んできたようだ。
これも秋の光のくれた作品への恵みである。
今朝も晴れて澄んだ光が満ちている。
短い秋の燃えるような紅葉の赤と、忍び寄る冬の玄(くろ)が
身を寄せて澄んだ晩秋の一日が過ぎてゆく。
佐佐木方斎「自由群新作展」の週末。
*佐佐木方斎展「自由群新作」ー10月27日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503