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テンポラリー通信

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2013年 10月 19日

透明な光ー楡の翳・神無月(17)

久しぶりに晴れて、光燦々と降る。
写真家のM夫人が来て、興奮気味に写真を撮る。
接写を試みて作品のディテールに感動する。
幾重にも塗り込められた油彩の層が、朝の光の中で柔らかく
美しく浮かび上がるからだ。
作品の赤も黒も、単純に赤でも黒でもない深みを保っている。
それが接写のレンズにまた別の世界を顕現させている。
赤を秘めた玄(クロ)、黒を秘めた朱。
色彩は光であり、光が彩(いろ)を生む。
そんな透明な午前の光であった。

M婦人が帰って、その後N君とY君が来る。
ゆっくりと作品を見た後、ふたりが言う。
「ガラスを掃除したいのですが・・・」と。
入り口のガラス戸を綺麗に磨くというのだ。
そしてふたりで洗剤を拭きつけ、雑巾とマットでガラス磨き
が始まった。
するとさらに光が会場に溢れて、日差しの変化とともに会場
に光が満ちる。
久しぶりに青空の広がった、秋の透明な光がくれた友情である。

人が人を呼ぶように、声が声を放って作品が人を惹きつける。
M画廊やS画廊展示のTさんやOさんが駆けつけて来る。
話を聞いて堪らず飛んできたようだ。
これも秋の光のくれた作品への恵みである。

今朝も晴れて澄んだ光が満ちている。
短い秋の燃えるような紅葉の赤と、忍び寄る冬の玄(くろ)が
身を寄せて澄んだ晩秋の一日が過ぎてゆく。

佐佐木方斎「自由群新作展」の週末。

*佐佐木方斎展「自由群新作」ー10月27日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-10-19 12:15 | Comments(0)


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