2013年 06月 27日
なにか嫌な予感があったなあ。 佐佐木方斎さんが来て、飲みに行こうとあまりに 誘うので、金が無いよと断ったのだが奢るという のでついつい居酒屋ゆかりへ。 話は当然今秋の個展の話となり、今描き進んでいる 「自由群」の話となり「格子群」「余剰群」より前 に実は最初に描いたのが「自由群」だったと明かして くれた。 それまで最初に直線の「格子群」があって、その切り落と した余剰の色彩を円や方形の中に重ねる「余剰群」の後に 閉曲線の内に色彩を重ねる「自由群」が描かれ、この3部 作の最後が「自由群」だと思っていた。 それが実はそうではなく、「自由群」が先に描かれ、そこ から円と方形の内に色彩を収束させ、最後に「格子群」の 一色10点の直線に収斂されていったというのである。 従って30年近い歳月を経て新たに描かれる「自由群」とは、 本当に方斎の新たな再出発となる作品となる。 道東の小さな山村から札幌に出て北大の数学専攻の青春時 彼の精神風土はまさに自由を謳歌し学生運動、美術の世界 を疾駆して純粋に広がっていた。 数学の純粋理論家の才能にも恵まれ、教授にはその道へと 強く誘われたとも言う。 3部作のタイトルともなった「格子群」「余剰群」「自由群」 とは、実は数学上の概念という。 多彩な色の閉曲線内での重なりが最初のスタートとするなら 、それは正に当時の佐佐木方斎自身の青春の時間そのもので あったのだろう。 そこから方形と円の組み合わせの内に色彩を結晶させ、最後に 一色だけを十字架のような格子に収斂させていく。 数学上の理論的純粋抽象過程をそこに感じて、どこか納得して 聞いていたのだ。 私はそれまでこの真逆の過程でこの3部作を捉えていた。 私の所有しているこれらの作品集はすべて版画として制作され たもので、その出版年が制作年と一致してはいなかった事にも 拠る。 そして「格子群」の直線から「余剰群」へ、そして閉曲線の中 の「自由群」へという順番は、札幌という直線の街で生まれ育 った私自身の思い込みも大きく作用していたという気もする。 ご機嫌な佐佐木方斎と別れ、少し酔い加減に自転車を走らせた。 途中夜間の道路工事の現場を避けて、段差のある道を勢い つけて走らせた後前輪が急に重くなる。 やがて、車輪がガタガタと音を立てる。 前輪のパンクである。 やはり嫌な予感が当たった。 *「記憶と現在」展ー6月30日(日)まで。 am11時ーpm7時:月曜定休。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2013-06-27 13:16
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Comments(5)
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shigeko
at 2013-06-28 09:54
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こんにちは。
r-photoへのコメントありがとうございました。 テンポラリー通信を読み始めたら抜け出す機会を逸してしまいそうでした。 まわりと共振しつつも孤高を保っておられるような感じが魅力です。 背後には分厚い時間空間がたたまれているのだろうと思いました。
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テンポラリー
at 2013-06-28 12:27
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shigekoさま>おや、まあ~!
Rさんとの遣り取り、いつも、よー、オオクボヤ!と ひそかに桟敷から声をかけさせて頂いてます。 たしか同姓と聞きましたから・・・。 いつか3人で美味しいお酒を呑みましょう。 コメントありがとう。
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オオクボリカ
at 2013-07-01 16:25
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わ。shigekoさん、とわたしもコメントです。
そうでした、私もテンポラリーさんの文章に惚れて、初めてコメント を入れたのでした。確かシャーマンのお話だったような記憶があります。 いつかきっと、3人でお酒が飲めますように!
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shigeko
at 2013-07-04 08:40
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テンポラリー
at 2013-07-04 11:41
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