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テンポラリー通信

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2013年 01月 19日

冬底深くーイシカル・1月(9)

寒気鋭く、風強く、雪深い。
今冬一番の冷え込み。
流しの水も流れず、排水管が凍っている。
そんな日ドイツより今年のカレンダーが届く。
月別の大判のカレンダーで、すべて谷口顕一郎さんの
作品となっている。
中に手紙があって、ケンとアヤのサインがある。

 明けましておめでとうございます。
 いつもブログ読んでいます。
 TEMPORARY SPACEがいろいろな人達にとって
 かけがえのない場所になっていること、本当の意味での
 受け皿になっていること、ほこりに思っています。
 まだ、札幌に帰る予定は決まっていませんが、その時は
 かんぱいしましょう。

寒さで凹んでいた気持が少しこれを読んで、明るくなった。
お返しに少しだけ余分のある吉増剛造展の名作フライヤー
と酒井さんの同じ傑作活版暦を送ってあげようと思う。
活字の凹みが谷口さんの作品とどこかシンクロするような
気がするのだ。
吉増さんのフライヤーは奥さんのマリリアさんの絶賛もあり、
フランスにも送られているから、谷口さんの居るベルリンにも
送られれば、フライヤー自体が世界を廻る飛礫となる。
これも飛ぶ小隕石だなあ。
吉増さんの大隕石草稿集は、現在静岡・三島市に飛びその
後岩手県北上市、東京代官山へと廻り、さらに多摩美大の
石田尚志氏アトリエへと廻ってゆく。
そして今年末ふたたびここTEMPORARY SPACEへと
戻ってくる予定である。
吉増さんの関係者に配布した覚書には、括弧して(本拠地、
出戻り。ーHome Base)と記されている。
270余葉の大草稿はこの後一年後にさらなる増殖を重ねて
いかなる大塊となって戻ってくるのか。
それを思うと、この一年は楽しみでもあり、空恐ろしい途方も
ない時間でもあるような気がする。
谷口さんの美麗なカレンダーに印刷された精緻な作品を見な
がら、これも吉増さんの草稿も同様にミクロとマクロの作家の
業のような恐ろしいまでの曼陀羅世界を感じているのだった。

札幌の北の片隅の斜め通りに立つ小さな傾きかけたような
蔦の繁る凍てついた木造小屋で、宇宙基地のようにUFOが
飛び立ってゆく。
よく見れば穴だらけの隕石のような無愛想な顔をしたスカスカ
の姿なのだが、時に火を噴くその推進力は流星となって世界
を駆ける。
離れてみれば、時にそれは光を発する星のようにもみえるの
かも知れない。
ドイツから送られてきた谷口顕一郎さんの便りがもたらした
幻想の、私の初夢である。

*高臣大介ガラス展「あふれでる。」-1月29日(火)ー2月3日(日)
 am11時ーpm7時。
+秋元さなえ展ー2月12日(火)-21日(木)
*ふたり展「ハツゲン」-2月23日(土)-3月2日(土)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-01-19 13:21 | Comments(0)


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