紅葉が進んでいる。
自宅近くから見える山も画廊の壁の蔦も紅葉の
深みを増して来た。
鳥に啄ばまれたのか
ナナカマドの深紅の実が路上に散らばっている。
休廊日明けの今朝、M君からメールが届いていた。
山田さんの出版記念会、本当に良い会だった。
しかし自分が最後その雰囲気を壊したのではないか、
というような内容だった。
違うよ、M君。
気遣う心の梢に、想いの優しさが紅くなる。
時に突風が吹いて葉の散る事もあるさ・・。
秋の深くなる一瞬。
人間にも同じ時がある
紅が深まるように、人の心の紅も深くなる時間がある。
心の繊維が濃くなって、真っ赤に燃える。
燃えて千切れそうにボロボロになるけれど、時に俯瞰し
てみればそれも紅葉の優しさである。
旧友の初期作品を展示しながら、同じような感慨を持つ。
激しく交差し熱く火花を散らした時が、今は紅葉のように
見る事が出来る。
路上に落下したナナカマドの朱色の房のように、
時の記憶が滲んでいる。
それは過去でありながら現在である。
否、紅葉という今そのものなのだ。
作品という葉は、時とともに今という光を放っている。
それを支えるのは梢という心の枝先である。
さらにその枝を支えるのは、ここを生きるという俺の幹だ。
*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月4日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503