2012年 08月 02日
あの暑さが嘘のように涼やかな日である。 半袖でいると少し寒いと感じる。 氷菓のガリガリ君を食べる気にもならない。 T女史からメールが届いて、この氷菓の事が(笑)付きで触れら れていた。 意外とこの話は、M氏やT女史のようなインテリに受けてるみたいだ。 そういえばガリガリ君を最初に印象付けてくれたのは、十年ほど前の 夏ライブで来たフォーク歌手の及川恒平さんだった。 マネージャーの人に、暑いから買って来て、と頼んでいたのだ。 この時はガリガリ君ソーダ―味だよ、と念を押していたのを覚えている。 それ以来この氷菓の名前が記憶にあった。 包装に描かれた独特のキャラクターが印象的だった事もある。 今回の今村しずかさんのCDジャケットのデザインもそうだが、包装の インパクトも中味に負けずに大切な要素と思う。 亡くなった今村はまなさんの本は、イラストと漫画で構成された本だが、 日々の入院・療養生活の中で感じ行った事の日常が暖かなタッチの筆で 感じたまま描かれている。 南西の山稜地帯に近い簾舞の病院でその自然環境の中で、酸素ボンベに 電動車椅子の生活を送りながら、人を見詰め自然を見詰め今生きている 自分を見詰めて描かれている。 暗く閉じることなく、あるがままにその日常を些細な事実の積み重ねを愛し むように描いている。 表紙にもなっている表題の「私もその自然の中の一部なんだ」という絵は、 特にその事実を象徴していると思える。 真ん中に電動車椅子に酸素ボンベのはまなさんが描かれ、その周囲には アスファルトに卵を生みつけているバッタ、足のもげたクワガタ、羽のちぎれ た動けない蝶、何かの死骸にアリ達が群がり、蝶やキリギリスが交尾をし、 といった文字と絵が描かれている。 そしてそれらの上に大きく「私もその自然の中の一部なんだ」という表題が 書かれている。 これらの絵も文字も対象への暖かな愛情に満ちていて、少しも深刻さや暗さ が感じられない筆触なのである。 入院中にこの絵やイラストが評判となり、2003年10月に展覧会が催され 翌2004年に一冊の本となった。 そして今年6月妹の今村しずかさんの初CD「この世界に」の発売に合わせて 絶版となっていたこの本を妹のしずかさんが復刊さたのだ。 昨年の3・11大震災を経て生まれた新曲「この世界に」を書いている内に 今は亡き姉の言葉「私もその自然の一部なんだ」が自然と心に浮かんできた という。 同じテーマにたどり着いたのは、きっと、意味があると信じています。 7年の時が経ちましたが、今だからこそ、この本を手にとって読んでほしい。 (今村しずかー再版チラシから) 2005年3月にこの世を去った姉はまなさんへの追悼とともに、ふたりが時を 経て同じテーマに至った心の時間が、この本の再版と初CDに収録された歌の には篭められている。 それは生と死に分かれ7年の歳月を経てなお、繋がる同時代の心の軌跡である。 そして今展示には2006年8月にこの世を去ったムラギシも入って、生死だけでは 分断できない人の心の同時代性が、展示の大きなコアともなって展示の深部を繋 げている。 *「この世界に」展ー8月5日(日)まで。am11時ーpm7時。 :今村はまな原画×森本めぐみ(絵画)+村岸宏昭(絵画) :今村しずか「この世界に」CDー1200円 :今村はまな作品集「私もその自然の中の一部なんだ」ー1500円 :村岸宏昭遺作集ー2000円 テンポラリースペースー札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2012-08-02 15:53
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