大木裕之展の時頂いた故村岸宏昭主演の短編映画「Monkeylove(2005)」
を見る。寡黙でストイックな表情のムラギシが、赤い猿の衣装を着てそこにいた。
ナレーシヨンの声は、少し沈んだ落ち着きのある澄んだ本人の声である。
そして冒頭のシーンではゴミ収集日の曜日が、詩のように朗読される。
月等日は燃えるゴミ、火曜日は資源ゴミ・・・。
それはまるで大木裕之展がまだ続いていて、最終日彼が手伝いに来たような
気がした。
釧路の高校時代遺作集を読み、大学に入って釧路を出てここへ来るようになっ
た瀬戸くんと一緒に見ていたが、彼は初めて見聞きするムラギシの声・風貌に
声もない。
映像もさることながら、ムラギシの声音の保つ憂愁を帯びたナレーシヨンの魅力
もこの映画では大きな効果があると思える。
声も、音だなあ。
声が保つ音の直接性は、より直接身体的に響くものがある。
ナレーシヨンの詩的なフレーズとともに、彼の声音が映像をさらに深くしている。
この映画が2007年2月フランスのクレルモンフェラン短編映画祭、LAB部門
でグランプリ受賞したのは、彼の死後半年後の事だった。
この日一緒に映像を見た瀬戸くんを始め、ムラギシの死後追悼集で彼を知る
有山さん、山田さんはどう思うのだろうか。
きっと彼の声に深く反応するような気がする。
大木裕之展終ってまだ余震のように、心の堆肥が続いている。
会期中見れなかった「Monkeylove」を見ながら、そうを思うのである。
*森本めぐみ展ー6月6日(水)-17日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503