青空が続き、気温が上昇する。
風景に色が増してきた。
裸木に緑の葉が萌えてきた。
アスファルトに映る黒い枝の翳にも、うっすらと燃えるものがある。
遠くの山肌にも白や黄の斑な模様が見える。
光濃く光冴えて、空気を透明にする。
夏の始まりがこれから一気に加速して、植物の色彩も濃くなっていく。
帰省中の東京の大学生Oくんが寄る。
3年になる今年、将来を考えて背広スーツを着る人生を送りたくないと
結論したという。
あらためて手仕事の職人の仕事を目指すと話す。
親にはそのことで昨夜話し合ったという。
東京で満員電車に乗り、人込みの中にいてこんな中でスーツの人生は
自分には向かない、と感じたと話す。
両親ももともと手の仕事をしている人なので、その仕事を継ぎたいという。
ただそれはそれとして、創作の仕事は続けるのだとさばさばした表情だった。
植物と同じように、人間もこの時季色を出すのだなあと思った。
それはそれでとても自然な事で、その人間の本当の色を志として出せば良い。
昨夕の新聞に小さな記事で今回の展覧会が取り上げられて、朝からそれを
読んだ人たちが連続して訪れる。
八木さんの絵画の生徒さんが多いようだ。
ふたりの正面に飾られた油彩の評判が良い。
福寿草の黄、フキノトウの緑のような、描き込まれた油絵の具が春の透明な
光に映えているからだ。
この絵を見ていると、色彩は光であり、光は色彩を生むという事が良く分かる。
追悼・それぞれの八木保次・伸子展もあと二日。
短い春が行く。
*追悼・それぞれの八木保次・伸子展ー4月29日(日)まで。
am11時ーpm7時。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1ー8斜め通り西向
tel/fax011-737-6603