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テンポラリー通信

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2012年 04月 12日

お別れ会ー光陰・4月(8)

八木保次・伸子さんのお別れ会に出る。
会場のホテルには多勢の人たちが集まっていた。
黙祷や献花等のセレモニーの後、宮の森のアトリエでご夫妻が語る映像
が大画面に映し出された。
何度もかって訪れたあの場所の記憶が甦る。
山の上の光溢れる部屋だ。
その後、それぞれの想い出を語るひと言リレーが行なわれた。
当たった人が次の人を指名するというリレーである。
そうはいっても途中から司会の人が然るべきお偉い方、遠方からわざわざ
見えた方へと配慮して指名をし、全部はリレーとならない。
そこでそれぞれのお話を聞いていて、故人への想いの実感に差異を感じた
のである。
総じて然るべき人やお偉い人の話程、実感が薄いのである。
実感という点では未知の人や教え子さんたちの話の方が、より故人を彷彿と
させ心打たれる所が多かった。
故人との交流の深さが、言葉となって心に沁みるのである。
この実感の差は、不思議と社会的立場と反比例してその濃淡の差異として
顕れた。
追悼の会に出席するだけで充分に弔意を表している訳だから、もうそれ以上
語らなくても良い場合もある。
何人かの偉い人たちは、そういう感じの内容だった。
それに引き換え、身近に故人を見詰め語ることの出来た人たちの話は、じんと
心撃つ話が多かったのである。
追悼とは、最終的に実感の事ではないのか。

長く生きてこられたおふたりの人生である。
いろんな合縁機縁のしがらみがあって当然である。
従ってすべてが実感だけで、お別れ会が行なわれるものでもない。
ただ今回の会は葬式ではない。
儀式を排した分、より本音の実感をが主役であった筈である。
もっとたくさんの実感が、あの多勢の参列者の胸の内にはあった気がする。

*追悼・八木保次・伸子展ー4月中旬予定・

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-04-12 13:54 | Comments(0)


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