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テンポラリー通信

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2011年 12月 14日

Cineオペラシオンー烈々布(22)

昨日送られてきた吉増剛造×石田尚志の共演今年9月10日午後3時
から行なわれた東京都現代美術館のライブ映像記録を見た。
石田尚志の奔放なライブペインテイグと吉増剛造の空間を点刻する
簡潔なハンマー打撃音、そして鈴の音。
それらが会場スクリーンに同時に投影され進行する。
鈴木余位さんの映像は、時に俯瞰し時に密着してこのふたりの動きを
余す所無く伝えている。
東北の恐山の巫女たちが乗り移ったかのように、ふたりの真摯な神懸り的
共演が画面に踊っていた。
 
 記録ではありますが、巨大なお二人の仕草の力によりひとつの映画が
 やってきたような気持でいます。
 出来はともかく、僕にあたらしい眼が生えたように喜びが訪れました。
                        
<あたらしい眼が生えた><喜び>と、撮影者の鈴木余位さんは語って
いる。その気持がそのままストレートに映像からは伝わるのだ。
この映像が編集されている時に、今回の吉増剛造展の案内葉書が届いた
という。

 なにか、呼ぶものでもあったかのように、このタイミングに、吉増さん、石田
 さんの共演映像が出来ましたので送らせて頂きます。

優れて意識的な展覧会には、時としてこうした魂の呼応のような事がある。
それも地理的に遠く離れた場合が往々にしてある。
今回の吉増剛造展もまた、そうした稀な個展の例である。
魂は千里を走るという。
新幹線や飛行機の千里とは違う距離が人間にはある。
この映像に再現された今年9月10日、私は石田さんから連絡を頂きどれ程
行きたいと思っていた事か。
急な事でそれは叶わなかったけれど、今こうして鈴木余位さんの映像に接す
る事で、鈴木さんとの友情も含めてより深く重層してこの出来事を共有する
幸せを味わっているような気がする。
時間と場所というものは、時としてまた現実とは全然別次元のサイクルがある。
それを人は魂の時間と呼ぶのだろうか。
この送られてきた「Cineオペラシオン 吉増剛造×石田尚志」は、奇跡的な
ふたりによる鎮魂と祈りに満ちた共演の記録である。
機会をみて大きな画面で公開できればと思う。

*吉増剛造展「石狩河口/座ル ふたたび」-12月31日(土)まで。
 AM11時ーPM7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-12-14 13:24 | Comments(0)


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