暖かい雨が降っている。
木々が濡れて、紅葉が深みを増す。
風が無い。
こんな日は傘を差して、一日森の周辺を歩きたい。
家を出て円山周辺の道を歩きながら、そう思った。
昨夜も雨だったので、昨日は自転車を置いて帰ったのだ。
車が飛沫を上げてすれ違う。
枯葉が舞って、水溜りの中。
梢の紅葉と路面の濡れた落葉が、雨の色彩を唄っている。
歩く舗道には土の匂いがしない。
もしこれが森の中だったら、朽ちてゆく枯葉の匂いがするだろう。
風が無いから、小鳥の羽音鳴き声も聞こえているかも知れない。
街は車の微かなガソリンの匂いと、飛沫音。
それでも自転車の走行とは違う、歩行のリズムと揺れる景観。
画廊に着くと日曜休日の朝すでに、森本さんが制作に勤しんでいた。
3点目、中くらいの大きさの作品が途中まで出来ている。
冴えた赤が出て来た。
2点目に出来上がった作品は、すでに南側窓際に吊るされている。
これは死火山のような風景の広がる暗い蒼い絵。
来年北欧に行くというSさんが先日この絵を見て歓声を上げた。
私こんな風景を求めて、北欧へ行くの!
ともに熱い赤のイメージを与える人たちなのに、その真逆の世界が訪れる。
両極のエネルギーがきっとふたりを訪れているに違いない。
森本さんとSさん。
ふたりの作家の不思議な交点だ。
雨の静かな日曜日
静かな制作の時間が過ぎてゆく。
*森本めぐみ滞在制作展「ものもつ子のこと」-10月12日(水)-30日(日)
am11時ーpm7時;月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fsx011-737-5503