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テンポラリー通信

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2011年 09月 10日

現代の西遊記ードットの時代(18)

福島のK氏から最近の便りがある。
汚染された土を埋め、8月は高圧洗浄で建物・道路を洗っているという。
洗浄した後も、時間が経つとまた数値が高くなるので、継続的に洗浄を
続ける必要があるという。
昨日のTBS報道では、診療患者の激減で病院の経営が成り立たない
現状が報告されていた。
前年比85%の減で月5000万円の赤字という。
さらに故郷を終の棲家にしようと、小児科医院を自宅とともに新築した
ばかりの医師は、子供の数の激減で経営が成り立たず閉院も止む無し
と語っていた。
映像で見る限り、総合病院も小児科医院も立派な設備の病院である。
そこには地震や津波とはまた違う、目に見えないブラックホールのような
人が消えた街の状況がある。
放射能のホットスポット、街にブラックホールのような黒い点(dot)が生ま
れている。
指先の操作、dot構造を操作する文明社会を築いてきた人類は、
その真逆の見えない暗い穴を生んでいる。
高圧洗浄機でその穴を消し、その廃棄物をさらに深い穴へと収容する。
今はただ一時的に、点々と青いブルーシートで蔽っているだけなのだ。
消滅しないブラックホールのdotは、さらに濃く濃縮され人を消してゆく。
そんな事を考えると、辞書の中にあるdotの引用がやけにリアルになる。
dot age(もうろく、溺愛)、dot head(スカ頭)と、点は深い穴となり、
廃人の世界を造っていく。
普段ドットの画素に囲まれてこの社会を生きている。
さらにこの指先ドット操作構造は進化するだろう。
道具から機械へとその増幅装置は発達し、ますます掌の機能は指先の
点・dotに支配される。
これは進化なのか、退化なのか。
お釈迦さまの掌を飛び出した孫悟空は、外道へ転落する。
大きな自然・宇宙という釈迦の掌をはみ出してはならない。
その為に額を締めるあの孫悟空の頭輪のような痛みの知性こそが、
今求められている。
そんな気がする。
西遊記で孫悟空たちが戦う妖怪とは、現代のブラックホールの妖怪とも
読み取れるからだ。
高圧洗浄機とは、現代の沙悟浄かも・・。

*藤谷康晴展「覚醒庵~ドローイング伽藍~」-9月13日(火)-25日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-09-10 14:50 | Comments(0)


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