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テンポラリー通信

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2011年 06月 18日

透明な回路ー夏日幻想(9)

体調が回復して、久し振りに作家が来る。
今日明日の土日会場に常駐予定。
昨日と違い今日は曇天、雨模様。
昨日遅くミュージシアンの有山睦さんが来る。
Mの高校時代の美術の先生だよと、齋藤周さんの事を教える。
Mの遺作曲「撓む指は羽根」を今は定番にして演奏している有山さんは、
ゆっくりと作品世界を逍遥していた。
こちらも風邪で体調を崩していたという。
”落ち着いてゆったりできるなあ”と感想を漏らす。
そういえば、先日山田航さんが来ている時齋藤さんのK高校時代の教え子
が来ていて、と話す。
その人はMとK高校同期だった。そして詩人文月悠光のフアンの今田智子
さんのお姉さんで、とその繋がりの偶然に吃驚した話をした。
文月悠光さんは斎藤さんの今のA高校の教え子である。
その文月さんの関係で今田智子さんを知っていたが、その人のお姉さんが
Mと同級生だったのだ。
早速有山さんたちの演奏したMの「撓む指は羽根」を今田さんのお姉さんに
聞かせたら、突如一緒に聞いていた山田さんが、言い出した。
僕はこの演奏を聞いてから、Mの事を深く感じるようになったのです。
最初遺稿集を読んだ時は、まだそんなに身近な存在として感じていなかった。
この演奏を聞いた時からですと、どこか決然とした口調で言い放ったのだ。
その話を有山さんにすると、顔がいっぺんに崩れて笑顔となった。
”嬉しいなあ、・・・”
ふたりとも生前のMに会ったことは無い。
その遺作曲を同期だった今田さんのお姉さんと、死後音楽を通して繋がっている
山田さんとが同じ場所で、有山さんが最初にフイーチヤーしたMの曲を聞いてる。
不思議な時間でしたよ、と有山さんに話した。
齋藤周展は作品を通して人と人が繋がり、同時に教え子がまた人を繋げていた。
久し振りに来た齋藤周さんに、そんな居ない間の出来事を話した。

作品とは、こうした見えない回路で人と人を結ぶ。
その透明な磁場を会場が生んでいる。

*「これから下りていこう/齋藤周」展ー6月11日(土)-26日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2011-06-18 13:56 | Comments(0)


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