テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2011年 06月 03日

残り3日ー燃える春楡(27)

デパートに久し振りに行った所為でもないが、人数の多さの差を思う。
物品の展示即売で人が溢れるデパ地下。
人も物もその間には、多くの目に見えない矢印が飛び交っている。
売りを煽り、買いを漁る。
目から前に出てくる表示・視線の交差・矢印の氾濫である。
一方ここの九州福岡から来た阿部守作品。
ただ静謐に直立して、今日は曇天の鈍い光に立つ。
あと3日間の会期。
作品磁場と商品磁場の差異と思えば、それまでだがちょっと口惜しい。
私にもかってはこのデパート体験はある。
東急・三越・そごう・丸井・・。
それぞれ肌合いが、内に入ると違った。
東急は関東若手、三越は老舗権威、そごうは関西老練、丸井は地元親分。
共通する体質は、置かせてやるという場所代ピンハネ体質である。
これだけ人が多く入るのだぞ、という量数的多寡の上に立つ優位性である。
お客を前主といい、トイレをキザエモンという独特の売り場隠語もあった。
売り場の上司に気に入られないと、一日で場所を移転させられたりした。
愛人に貢がされる業者は、電機製品から家具まで内密に納品したと聞いた。
そんな事までして、良い場所を確保し、売上を上げる。
最近は百貨店も王様ではいられないので、そんな事はないのかも知れないが、
ある時期までは、確かに消費の王座にデパートは君臨したのである。
この大いなる物欲蠢く華やかなステージを主導するものは、人間の多さである。
人ではない。人間の数の多さ、そして運ぶお金の多さである。
だから前に出て目立ち、注目を引き、こちらへ向かってくる矢印が多くなる。
ある時期からこんな所で展示しても、人の数は多いけれど、何も見ていない
と思った。
それから一切展示会はしなくなった。
それではどこでというと、自前の場所が無い事に気付いた。
本拠地もまたショッピングビル化していたからである。
そして先祖伝来の地を出て、郊外へと移動した。
それが円山北町である。
そしてここも、今度は住居のビル化の波が押し寄せて来た。
高層マンシヨン群である。
住居の多人数化が進み、店舗のパック化は住宅のパック化にも及んできた。
ここでも人数の多寡が主となってきた。
対面販売の市場が消えて、ショップパックのビル、セルフのスーパーが主と
なり、円山からふたつの市場が消えた。
昨年今年の事である。

鉄の黒い柱のような阿部守作品を撫でて思う。
垂直に立つ事。
深く、地に縦軸を据えて。
樹のようだね。
ぼくら、森を生むことはできるのかしら。
一本、一本で在り続けながら、・・ね。


*鉄・インスタレーシヨン 阿部守展ー6月5日(日)まで。
 am11時ーpm7時
*斎藤周展^これから下りていこう」ー6月11日(土)-26日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
[PR]

by kakiten | 2011-06-03 14:52 | Comments(0)


<< 最終日ー燃える春楡(28)      久し振りのデパート行ー燃える春... >>