初日宴会の翌朝、開廊とほとんど同時に高臣大介さんが来る。
昼の自然光の中で作品をじっくり見たいからと言う。
宴会の夜には、人もいてゆっくりと作品と向き合えなかったからだ。
程なく同じ昨夜の宴会にいた旭川彫刻美術館のTさんも来る。
それぞれ札幌に一泊し、朝再び会場に来たのだ。
午前、正午、午後の光が射し込む中、ふたりはゆっくりと作品に触れたり、
撮影したり、メモをとったりと作品との対話に余念がない。
阿部守さんは、この日道北音威子府に出かけて留守だったが、こうして
作家は居なくとも作品との真摯な対話は日を跨いで続いた。
余程作品に魅了されたのか、高臣さんが午後洞爺へ帰った後もTさんは
残り熱心に作品を見続けていた。
夕方美術家の森本めぐみさんがお花を持って、阿部さんとの昨年来の
再会に訪れる。
彼女の作品は昨年阿部さんの目に触れ、今年阿部さんに紹介された九州
福岡の画廊で個展の予定である。
高臣大介さんと阿部さんは来年2月、ここでガラスと鉄のふたり展を予定
している。
作品だけではなく、こうした人と人の繋がりが、新たな展開を生んでいる。
Tさんは森本さんとほとんど初対面のようだったが、森本さんの作品は
知っていて、すぐに話が打ち解けて話し込んでいた。
結局閉廊時間まで話は続いた。
その後ふたりを誘って居酒屋ゆかりへ向かい、昨夜の続きを解消する。
結局二日続いた初日という事かも知れない。
飲み歌う宴会だけではなく、翌日酒井博史さんも再度見え、もう一度
きちっと作品と向き合ってくれたのが嬉しかった。
作家の人間性もそうだがそれだけには止まらず、そうした魅力ある作品である。
九州福岡の芸術村の村長に納まる事なく、単身毎年作品を引っさげて勝負を
賭けてくる阿部守さんの心に、受け手である札幌もきちっと受けなければならぬ。
その意味で札幌に一泊して、作家と共に初日を迎え、かつ翌日作品と向き合って
くれた人がいた事が嬉しく、お酒は進んで気持ち良く酔ったのである。
*鉄・インスタレーシヨン 阿部守展ー5月20日(金)-6月5日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
*斎藤周展「これから下りていこう」-6月11日(土)-26日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503