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テンポラリー通信

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2010年 08月 04日

緑の運河ー森の記憶(24)

宇田川洋さんが署名簿を持って来る。
いよいよ「札幌緑の運河エルムゾーンを守る会」の活動開始である。
早速先ず第一番に唐牛さんに署名をお願いする。
その後久しぶりに見えたフォーク歌手の及川恒平さん、歌人で短歌批評の
田中綾さんにも署名を頂いた。
及川さんは1年ぶりの来廊である。
新作CD「地下書店」を完成し、新たな展開が予想される時期。
11月頃ここでのライブを打診される。
立体切り絵のSさんも見えて、早速切り紙をその場でみんなにプレゼント。
一同感嘆しきりである。
その後閉廊後居酒屋ゆかりへ向かう。
宇田川さんに及川さんを紹介する。
さらにOギヤラリーのOさんが署名をそちらでも集めるというので、
もう一部署名簿を作って貰う。
まず声をあげる事、その声の波紋がどこまで広がるか。
声の胞子が今空へと放たれたのだ。

    札幌の緑の運河=エルムゾーンを守りたい!

かって札幌は、エルムの都と呼ばれておりました。札幌は豊平川水系の扇状地
に明治以降出来上がった街で、泉端からは泉が湧き出て小川を形成し、多くの
エルム(春楡)が自生しておりました。かって街中に残っていた大木が時にチャ
チャニレ(年老いたニレ)とも愛称され、北一条通の名物であったこともありまし
た。エルムは高水位の地形を好んで自生し、春楡がアイヌ語では、チ・キサ
・ニ(我ら・こする・木)といわれ、本州の檜(火の木)に対応する生活文化を支え
た大切な樹であったといいます。
現在そのエルムの森は次第にその姿を消し、僅かに公共的な敷地にしかその
姿を見る事が出来なくなりました。その森の面影を今に残す一帯が、植物園の
森であります。ここは原生林の姿をそのまま囲いめぐらして植物園とした、
先人の英知が活かされた場所であります。さらにここは、北方の北5条通りを
挟み、伊藤義郎邸のある広大な往時の面影を残す庭へと続き、JRの高架線
を越え、札幌市指定文化財の清華亭庭のエルムの大木へと繋がります。
清華亭はさらに北海道大学の広大な構内の森へと続き、この緑の運河とも
いうべき森と泉のゾーンは、札幌の原風景としてかけがえのない
<風景の文化遺産>を形成しております。
そしてこのゾーン一帯には、宮部金吾記念館、清華亭、北大構内各所に
点在する近代建築物等と相まって、札幌の優れた近代遺産の宝庫とも
なっております。

しかし今年5月16日付けの「北海道新聞」が伝える記事によれば、
このかっての「エルムの森」を支えたサクシコトニ川の源泉のあった伊藤邸
のある敷地が高層ビル化するとの報道がありました。
ここは現在北大構内を流れるサクシコトニ川の水源ともなった湧泉の
あった場所でもあり、かつ今も旧偕楽園跡に祀られている井頭龍神の
小祠がこの伊藤邸の庭にも祀られているといいます。
私どもは、この道庁前庭ー植物園ー伊藤邸ー清華亭ー北大構内と続く
かってのエルムの森の記憶、<緑の運河=エルムゾーン>を高層ビル等
の建設によってこれ以上森と水脈の断絶を進めてはならないと考えます。
出来得る事なら、「伊藤緑地」として1万平方mを超える伊藤邸前庭を市民に
開放し、これを世界に類例の少ない貴重な風景文化遺産として保存、活用
すべきと考えます。
都心札幌駅に程近く、これほどの自然文化遺産を有する都市は、少なくとも
日本においては札幌を置いて他には考えられないと思われます。
過去に、港町小樽の象徴として小樽運河全面保存運動がありました。
内陸の都札幌においては、かっての森の象徴<緑の運河=エルムゾーン>
を市民一丸となって守り、育て、未来へと引き継いでいこうではありませんか。
また、20世紀の開発一辺倒が終焉を迎えつつある現在、かすかに残された
原風景を大切にしていくことこそが、21世紀の地域活性化の重要な資産に
もなっていくものと確信しております。
私どもは、この事を伊藤組、札幌市等関係各所に訴えかけていきたいと
思っております。多くの方々の心からのご賛同をお願い申し上げます。
そしてここにこの趣旨にご賛同され、ご署名をお願い申し上げる次第です。

      札幌・緑の運河エルムゾーンを守る会

以上が今回の呼びかけ文の全文である。

*唐牛幸史展「REPUBLIC」-7月27日(火)-8月15日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休・休廊。
*西田卓司展「ワーキングフロー」-8月24日(火)ー9月12日(日)
*谷口顕一郎展ー9月21日(火)-10月3日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2010-08-04 13:07 | Comments(5)
Commented by 中村 惠一 at 2010-08-04 18:06 x
趣旨に賛同です。署名をしに伺います。
Commented by いしまるあきこ at 2010-08-05 00:23 x
インターネット経由で署名する手段はご用意されないのでしょうか?
Commented by kakiten at 2010-08-05 10:51
中村さま、いしまるさま>遠くはなれた東京のおふたりが
一番最初の声を届けてくれましたね。
離れている方の方ががよく見えるのかもしれません。
燃えよ!札幌市民!
ネットでの署名については、相談してみます。
ありがとうございました。
Commented by チクリン at 2010-10-10 13:20 x
先日、植物園から伊藤邸ー清華亭ー北大第2農場まで「めむ」に沿ってウォーキング!に参加しました。札幌に生まれ育ちながら始めての体験で、また興味あることでしたので最高の時間を過ごすことができました。最初説明段階で聞き逃したのか何度も出てくる「めむ」がわからず段々足を進める間の説明で湧き水!かな。と思った次第です。
ひとつひとつ感心することばかり、説明つきで植物園も小学校以来の経験で勉強になりました。まだまだ知らないことばかりでトシを重ねてしまい残念ですが、これから機会をみつけて参加したいと思いました。
このページには「めむ」「伊藤邸」などを検索しながらたどり着き、とても良かったです。署名はどちらでできますか?
Commented by テンポラリー at 2010-10-10 13:35 x
チクリンさま>署名はここで受けております。また、北18西5の
宇田川さんのお店「ゆかり」でもできます。
メムはアイヌ語で湧泉のことです。南西の山を源流として
伏流水が湧く場所です。
どれほどの事が出来得るか分かりませんが、
とにかく声をあげたく思います。
清華亭傍の偕楽園緑地に井頭龍神が祀られています。
これもメム・泉の記憶、水の神さまを祀ったのでしょうね。
因みにその分身は伊藤邸庭にも祀られているそうです。


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