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テンポラリー通信

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2009年 12月 10日

性格の違いーthe republic of dreams(9)

若いというだけで、ある種特権的な地位がある。
そこに才能の輝きが加われば、さらにその若さは光るだろう。
光れば人は、そこに集る。
財力と似た動きが、そこにはある。
新製品と同じで、目新しい内は光も増すが、すぐにも古くもなる。
ここで現代社会のひとつの大きな価値基準、<ブンベツ>が始る。
ブンベツに分別(ふんべつ)の保水力はない。
ブンベツは即である。新旧、貧富の差異はそれに近い。
そんな若さと才能に満ちた文月悠光さんの処女詩集
「適切な世界の適切ならざる私」(思潮社刊)が出版された。
今年の現代詩年鑑秀作にも選ばれ、高校3年生の若き詩人の未来は
洋々たるものである。
この詩集の装丁画を、来週から個展の始る森本めぐみさんが描いている。
文月さんが森本さんを選んで、作品を依頼し実現したものだ。
この若いふたりのコラボレーシヨンは、見事な本となって今手元にある。
それぞれにフアンもたくさんいる事だろうが、文月さんのフアンのひとりで
今年京都大学哲学科に入学したIさんも優れた人である。
この3人を見ていると、それぞれが当たり前だが個性的で、
単純に若いという年齢だけで一緒には出来ない。
才能の光り方が違うのだ。
その光を蝋燭の芯のように大事にして、吹き消されないように、
燃え続けて欲しい。
私は勝手にそれぞれに仇名を付けている。
金平糖に、お米の変わり玉、かりんとうである。
誰がどれかは想像に任せる。
願うのは、金平糖の角が擦り減らないように、
かりんとうはぽっきり折れないように、
お米の変わり玉は、まあるく何でも受け入れて溶けてしまわないように
、そう思うのだ。
まるでモグロフクゾウかカマジイーのように見守っているのだ。
年末森本めぐみ展の時、この3人が集ればキラキラと縦横に時間が広がる
ようで今から楽しみである。
年齢でブンベツできない、それぞれの分別(ふんべつ)が京都ー岩見沢ー札幌
と繋がり、性格の相違を際立たせながら、わいわいと作品を媒介にして、
豊かな時間が創造されることだろう、と思う。
3人がそれぞれの学校、年齢、性別、専門分野でブンベツされる事無く、
共有する何かを確認し、広め、刺激しあう。
その出会いが小さな場として生れれば、小さな年末の同時代共和国となる。
それくらい個性的で才能豊かな3人と思うのだ。
いずれは京都・東京・岩見沢と離れ離れのそれぞれの人生が始る訳だが、
変らず時を経て保たれる土壌のように、生きる事の根において時代の水分を
蓄えて欲しいのだ。
個別性を保って開かれ共有する何かを、ブンベツによる分類・区別・差別の
陥穽に落としめてはならない。
テツガク、ポエム、アートとかね。
さらには、地下通路に一括展示するようなパック化思想の、街構造にも
呑み込まれない事だ。

*森本めぐみ展「くものお」-12月15日(火)-1月13日(水)
 :12月31日ー1月4日まで正月休・月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2009-12-10 15:12 | Comments(1)
Commented by letterstand at 2009-12-10 20:28
はじめまして。
「手紙」と「言葉」のギャラリーを
東京 表参道のこどもの城の近くではじめました。
もし、興味ありましたらご覧ください。
よろしくお願いいたします。
コメント欄より失礼いたしました。

LETTER STAND


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