藤倉翼展、エレガントピープルJAZZライブまで、会場が空いたので、
たまにゆっくり部屋を整理する。
まあ整理といっても、掃除機をかけ、布団を干し、洗濯物を干しただけだ。
破れ布団を干すのは、多少人目を意識するが、天気の良い日と布団を取り
込む時間が取れる時にやらなきゃいけない。
遅く帰ると布団が湿ってなんにもならない。
昨日藤倉翼さんが来て、デザイナーのU氏とともに仮展示を試みる。
仲西浩之さんたちのJAZZライブの時、背景に彼のネオンサインの写真が
並ぶ予定だ。
下から見上げる夜のネオンではなく、ネオン塔と同じ水平目線で撮られた
彼の写真は、一瞬はっとさせられる。夜景の情緒的存在ではないからだ。
聞くところによると、ネオン管のひとつひとつは職人さんの手造りという。
現在は、ダイオードに取って代わられているようだが、もともとは違うという。
場所によってもその作品は微妙に違うという。
盛り場の空気感を、実はあの光が演出しているようなのだ。
宣伝文字も時代で意匠が異なる。もう現存しないネオンもある。
こんな事を真正面から撮影し記録する人間など、そうざらにいるものではない。
藤倉さんは札幌でも薄野、北24条、琴似、さらに東京大阪の
繁華街のネオンをも、出向き撮影している。
その結果場所によってネオンサインは違うという。
私はこの真正面から被写体に向かう彼の姿勢が好きである。
ネオンだけではない。
スキー場も海水浴場も巨大客船も団地もすべて真向微塵に捉えている。
巨視の目線でもあり同時に、微視の目線でもある。
それは彼が使用している巨大写真機、8×10の威力にもよる。
あの写真館で使用される撮影者が布を被って写すカメラである。
あんなものを担いで屋外に、ビルの屋上にと、出没し撮影するのだ。
ネオン塔を撮影した時も隣接するビルの屋上から撮ったという。
今回は「向き合えば、ポートレート」という主題の作品も展示するという。
巨大被写体に向き合ってきた彼が、たったひとりの人と向き合う。
そこに被写体へのある深化が窺われるのだ。
今恋しているという。いいね、真向微塵にぶつかり、玉砕かも知れないけれど、
それは結果論である。
写真家としていい仕事をした方が、勝ち・価値である。
これまでのすべてのテーマを凝縮して、そのエッセンスが展開される事と思う。
このところ写真の人たちが意欲的である。
アキタヒデキさん、竹本英樹さん、メタ佐藤さん、小林由佳さん、森美千代さん
と今後がみな楽しみな作家たちだ。
来年は、これらの人たちが連続して主題を立て展覧会を続ければ面白いと思う。
*エレガントピープルJAZZライブー9月19日(土)午後6時~
*藤倉翼写真展-9月22日(火)-10月4日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503